米BigFix、三菱商事と組みエンドポイント管理製品で日本市場参入--「分散型」アプローチで管理コスト低減

柴田克己(編集部) 2007年10月30日 12時41分

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 三菱商事は10月24日、米BigFixとマスターパートナー契約を締結し、同社の開発するエンドポイント統合管理ソリューション「BigFix Enterprise Suite」の国内販売を11月1日より開始すると発表した。運用面、技術面においては、三菱商事の情報セキュリティ事業子会社であるインフォセックとの協力体制を敷く。

 BigFix Enterprise Suiteは、企業内に存在するPCやサーバといったエンドポイントの管理機能を統合的に提供する製品。同一の管理プラットフォーム上で、大量のPCやサーバに対するソフトウェアの一括導入、パッチの適用をはじめ、セキュリティポリシーの構成管理、資産管理、マルウェア対策などを行える。欧米市場を中心に、700以上の顧客、750万台以上の導入実績があるという。

 BigFixの特長のひとつは、各エージェントが一斉に特定の管理サーバと通信を行う「サーバ集中型」の従来型管理ソリューションと異なり、エンドポイントのエージェントを同時に「リレー」として利用する分散型のアプローチをとる点であるという。

bigfix01 BigFix Enterprise Suiteの特長となるのは、エンドポイントにインストールされたエージェントが、それぞれにリレーとしても機能する分散型の管理アプローチをとる点だ。

 リレーとなりうるエージェントは、管理者側で指定するが、各エンドポイントのエージェント自体も、常に最も効率的にデータをやりとりするためのリレーを探索しつつ通信を行う。この、管理サーバとリレーのツリー構造により、ネットワーク負荷およびサーバ負荷が分散できる。また、システムにセキュリティホールが発生したような場合に、対応時間を短縮できるリアルタイム性の高さもセールスポイントという。

 また、BigFix Enterprise Suiteでは、同一のプラットフォーム(コアシステム)上に各種のモジュールを追加することで、セキュリティやIT統制に対する幅広いニーズに対応することが可能だ。用意されているモジュールとしては「不正端末検出」「電源管理」「パッチ管理」「脆弱性管理」「ソフトウェア配布」「アプリケーション資産/ライセンス管理」「ネットワークアクセス制御」「アプリ利用制限」「セキュリティ構成管理」「アンチウイルス」「パーソナルファイアウォール」「アンチスパイウェア」などがある。単体での導入も可能だが、企業の管理ニーズに合わせて複数のモジュールを組み合わせた「ソリューションパック」としても提供される。

 機能のモジュール化により、管理プラットフォームと管理サーバを統合できる点も特長となる。三菱商事では、「例えば、10万台のPCを管理しようとする場合、これまで100台以上必要だった専用サーバを、1台の管理サーバと1台の冗長サーバに納めることができ、サーバコスト、管理者コストを大幅に削減できる」と説明している。

bigfix02 BigFix CEOのDave Robbins氏。

 来日した、BigFix CEOのDave Robbins氏は、「日本市場はBigFixにとって重要な市場。これまでは、欧米市場を中心にマイクロソフトやシマンテック、IBM Tivoliなどと競合しつつ、業績を伸ばしてきた。日本市場には、2004年以降、多国籍企業の支店や、PC向けのOEMなどを通じて参入していたが、今回、三菱商事とのパートナーシップで、本格的に日本のエンタープライズ市場へ参入する」と宣言した。

 BigFixは、1997にスタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校の出身者を中心に創業された企業。当初は、主にコンシューマーPC向けにオートノミック(自律)コンピューティング技術を開発する企業としてスタートした。2002年にはエンタープライズIT管理へとターゲットを変更し、ビジネスを拡大。製品の特長であるエージェント側でのリレーによる分散処理技術は、創業当初から同社の一貫したテーマだったという。

既存管理製品への不満がBigFixの商機

 管理すべきエンドポイントが多数ある企業であれば、既に何らかの運用管理フレームワークが導入されているケースが多いだろう。後発という意味では、日本市場において不利な状況にあるとも言えるBigFixだが、競合といかに戦うかの戦略は明確だ。

 すなわち、既存の管理フレームワークを利用しているユーザーに対して、そのシステムに「足りない部分」をモジュールとして導入提案するのだという。先述したように、BigFix Enterprise Suiteでは、モジュール形式でユーザーが必要な機能を追加できる。BigFixのプラットフォームを導入したユーザーは、他の機能についてもBigFixのものへとリプレースするケースが多いのだという。Robbins氏は、「日本市場においても強力なテクノロジーをリーズナブルな価格で提供していく」と自信を隠さない。

 BigFix Enterprise Suiteの価格は、コアシステムがエンドポイント(PC、サーバ)1台あたり3500円〜/年のサブスクリプションライセンス(最少100ライセンス)となっている。別途、ソリュションパッケージ(モジュール)のライセンスが必要で、こちらの価格は1パッケージあたり数千円より。

 三菱商事では、2008年度の販売目標を5億円とする。また、中小規模企業向けのSaaS型ソリューションについても、年内に提供を開始する予定としている。

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