トップダウン思考でアプローチする場合には、放射状にプロジェクトの構造を1枚の図表として表現できるマインドマップ方式が効果的だ。なぜなら、最終的な目的は必ず複数の目的が連鎖する形で構成されているからだ。
インタビューなどを通して聞き出したものが、必ずしも本当の目的としてふさわしいものかどうかはその時点ではわからない。それは、最初に聞いた目的が、視点を変えれば別の達成事項の手段となっている場合があるからだ。
そういう時こそ、インタビューの内容をマインドマップで整理し、その構造と関係性を見極めるという作業が有益だ。目的の全体構造や関係性が俯瞰できれば、上位目的である「真の狙い」を発見することは難しくない。真の狙いを見極められれば、実行すべきことの選択基準や優先度も一層判断しやすくなるはずだ。
さて、A君はその後、部長のインタビューを通じて得た出展にあたっての様々な背景をマインドマップでメモし、MindManagerで整理してみた。メモをとった時の情景(部長の表情や言葉のニュアンス)を思い出しながら、MindManager上で素早く整理していく。
自分なりに考えを整理してみたところ、どうやらイベント出展の上位目的(真の狙い)は「顧客基盤の強化」にあるようだ。その目的を果たすための手段としてイベントに出展し、「Win-Winパートナーを獲得する」ことが今回のプロジェクトの直接的な狙いであり、最優先事項のようだ。
A君はマップを整理した後で、もう一度部長にイベント出展の狙いやその先にある上位目的を自分の言葉で確認した。こうすることで、プロジェクトオーナーと、正しい目的の理解と合意を果たしたのだ。