OSSを活用した基幹系システム構築の裏側を探る--第3回:「OSSミドルウェアサポートサービス」

鶴田展之(qnote)

2007-11-07 18:20

エンタープライズ・システムへのOSSの採用に際して、最も障壁となりやすいのは、やはり「保守」「サポート」の問題だろう。OSSは一般的にユーザコミュニティによって開発体制が維持されているため、開発元から商用ソフトウェアのようにきめ細かいサポートサービスが提供されることは極めて稀だ。また、開発のロードマップやスケジューリングに対するコミットメントも、社会的責任という点で企業よりも緩いものにならざるを得ない。もともと、OSSは利用者が自己の責任で活用すべきものなのである。

しかし、エンドユーザ側の視点、ことに基幹システムのユーザの視点に立てば、保守・サポートが手薄になることは極めて不安が大きいものである。OSSの採用によってライセンスコストを低減できたとしても、システムの障害に際して解決が遅れればそれだけ運用コストは増加してしまうし、なにより業務が停滞するリスクは無視できない。

継続強化される保守サポートサービス

 そこでNECは、エンタープライズOSSソリューションの一環として「OSSミドルウェアサポートサービス」を提供し、ユーザの不安解消に努めてきた。同サービスは2004年5月の発表以来、基幹システムに活用されるOSSの増加に伴って継続強化され、現在システム導入前サポートで21種類、運用保守で15種類のOSSに対応するサポートサービスを展開するに至っている。

 同社のエンタープライズの領域で使用する「構築Suite OSS+」を構成するApache、PostgreSQL、MySQL、JBoss、Tomcatはもちろんのこと、sendmail、postfixといったメールサーバや、OpenLDAP、BIND、Samba、PHP等主要なOSSミドルの多くについて、24時間対応で運用を支援する。エンドユーザにとって、システムを構成するすべてのOSSミドルのサポートをワンストップで受けられるメリットは、極めて大きいと言えるだろう。

 また、ユーザ企業が自社内のエンジニアを育成したい場合には教育サービスが利用できる。この教育サービスでは、JBoss、PostgreSQL、OpenLDAP、Sambaの4つについて、運用管理等に必要な知識を専門の技術者から学ぶことができる。

保守サポートの図

保守サポートの図

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