「DBは攻撃されない」の実態
先ほどの図1のように、通常DBサーバはFWの内側に設置されており、インターネットから直接DBサーバにアクセスすることはできない。しかし、SQLインジェクション攻撃によって直接DBが攻撃を受けたり、悪意を持つ内部関係者による、権限を悪用した情報の漏えいを招くこともある。
「DBには侵入できない」の実態
管理者・運用担当者用端末からや、クライアント/サーバシステムを利用しているオフィスからDBに接続することは、端末制限されておらず非常に容易にアクセスできる。ただし、DBにログインするには何らかの認証をクリアする必要があるのだが、デフォルトパスワードのアカウントが放置されているような状況では、ログインすることは造作もない。その上、セキュリティパッチが適用されていないDBでは、ログイン後に管理者権限まで取得される可能性も高い。
「DB管理者は、自社の従業員と機密保持契約を交わした関係者なので安心」の実態
機密保持契約の締結、ポリシ違反時の罰則規定などの抑止策は、一旦タガが外れた(腹を括った)人間には無効である。過去に発生した内部関係者による情報漏えい事件のほとんどは、こうした信頼できる担当者により引き起こされている。
そして、内部関係者による情報漏えい事件は件数こそそれほど多くないが、一回あたりの漏えい件数は、紛失や過失に比べ桁が違うので侮れない。
参照:JNSA 2006年度 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書(PDF)
「仮にDBが何かしらの攻撃を受けてもすぐに気付くはず」の実態
組織内の誰かがウイルスに感染したらアンチウイルスソフトや、ネットワーク管理者などが即座に検知し、被害拡大防止策が取られる場合が多い。しかし、内部関係者によるDB内の情報の不正持ち出しや、SQLインジェクションなどの攻撃の場合は、ほとんど気付かれることはない。
ネットワークの監視カメラをIDSとすれば、DBの監視カメラに相当する装置や製品を導入している組織は、現時点ではまだまだ少ないからである。
以上のことは、みなさんのまわりのDBでも該当する部分が多いだろう。不安に思われたら是非、関係者にヒアリングベースでもよいので確認してほしい。