実施体制を可視化する--「どこの誰が?」
A君は、先輩の指導のもと、関係者と協力しながら活動内容のブレークダウンを着実に行っていた。やるべき作業が明確になってくると、次に必要なのは、それを「どこの誰がやるのか」を決めることだ。担当者不在の仕事は、存在しないに等しい。
A君にとって、部門横断的なチームをマネジメントするのは今回が初めての経験だ。関連部門のリーダーとは何度か打合せをしてきたが、具体的な作業を誰がやるのかについては、まだ分かっていない。また、他部門からは自分と面識のないメンバーも参画するため、チームとしての人間関係そのものが、実はよく見えていない。
そこで、プロジェクト実施にあたっての体制図を描こうと、再び先輩に相談することにした。
A君:先輩! 今回のイベントプロジェクトに協力いただく関係者をもとに「プロジェクト体制図」を作りたいと思うんですが、いい方法はありませんか? よく「Microsoft Visio」や「PowerPoint」を使っている人を見かけるんですが、実はVisioは使ったことがないし、PowerPointだとちょっと表現が単純すぎるというか……。 先輩:それなら、君もかなり使い込んでる「MindManager」でやってみたら? A君:え? まさか、マインドマップで体制図は描けないでしょう? 先輩:あはは。Aくんもまだまだだねぇ。実は、MindManagerはマインドマップをベースにはしているけれど、それ以外にも様々な表現方法が用意されているんだ。実は「組織チャートスタイル」なんてのもあるんだよ。ほら、見てごらん。 A君:わっ! こりゃビックリですよ。まさか、MindManagerで体制図が作れるなんて夢にも思いませんでした。 先輩:MindManagerで体制図を描くときのメリットは、実施体制全体が1枚で見渡せることに加えて、それぞれの関係が一目でわかることなんだ。普通、組織図って上位からピラミッド型に表現されていることが多いけど、あれだけだと離れた組織同士の関係はわからないよね。プロジェクトでは、横のつながりが重要になることも多いのでそういった関係やコミュニケーション上の経路なんかを視覚化しておくと、後々重宝するよ。 A君:はい、わかりました。早速作ってみます。今までの堅苦しいだけの人間関係と違ったことまで見えてきそうでなんだかワクワクしてきました。 |
組織の体制図やプロジェクトの実行体制図を描く作業は、「単なるお絵かき」ではないはずだ。大切なのは、プロジェクトチームの構成を表現し、その要素となる人たちの役割や関係を共有することではないだろうか。
旧来の組織図や体制図は、どちらかというと縦型の指揮命令系統を示す「責任所在図」であることが多い。これは実際に、プロジェクトを受注した企業が顧客に提示する体制図に多く見受けられる。しかし、こうした図は、実際にプロジェクト活動を行う人たちにとってはあまり役に立たない。ひとつの目的を持ったプロジェクトチームが共有すべき実施体制図は、実際の活動に即した役割や関係性がシンプルに示されていなければならない。
ここでは、MindManagerの「組織チャートレイアウト」を使った効果的な実施体制図の例を示す。