NGNは、ITU-Tが提唱する次世代ネットワークで、既存の電話網に代わる通信基盤として注目されている。次世代ネットワークは、あらゆる情報をIPパケットで伝送するネットワークインフラと、キャリアやサービスプロバイダが認証、課金、位置情報などのサービスを提供する基盤となるサービスプラットフォームで構成されるのが一般的な概念だ。今回から、NGNに向けたITベンダーの動きを見ていこう。まず今回は、NECの取り組みについて紹介する。
NECのNGN構想
NECは、NGNの構築からNGNを活用したソリューションまでを、キャリアや企業、コンシューマーに提供することで、ユビキタス社会を実現し、「Dynamic Collaboration」を加速させていきたいと考えている。同社のいうDynamic Collaborationとは、ユビキタス社会の進展でユーザーの利便性が向上し、企業のビジネス形態や事業領域が広がっていくことを指す。これにより、新ビジネスやサービスを創造する異業種間の柔軟な連携が加速していくことになる。これが、同社が掲げるNGNのキーワードだ。
NEC マーケティング本部長の藤岡忠昭氏は、NECがJR東日本情報システムと組んで携帯アプリケーションのモバイルSuicaの開発や情報システムの構築を手がけ、通話専用だった携帯電話にSuicaの機能が追加されたことで、携帯電話が乗車券になり、電子マネーでの買い物やネットショップの決済にも利用できるようになったことを指摘する。
「このように、ある基盤が変化すると、さまざまな新サービスが生まれる。NGNの発達によってうDynamic Collaborationが加速すると、企業や社会に強烈なインパクトをもたらすことは明白だ」と藤岡氏。NGN関連のソリューションを幅広くラインアップしているにもかかわらず、NECがそれほど強くNGNを宣伝していないのは、「NGNのインフラ構築が進展し、異業種が連携し始めると、NECのナレッジを集結してこれまで取り組んできたビジネスが必然的に回り始めると考えているからだ」(藤岡氏)と説明した。
NECが提供するサービスとは
NECは、現在展開する4つの事業をNGN向けに強化する方向だ。その4事業とは、ネットワークインフラ構築事業、サービスプラットフォーム構築事業、サービスプロバイダ事業、そしてサービス利用者向けソリューション事業となる。NECは、NGNの実現によって変化するライフスタイルやビジネスモデルを支援するサービスを企業や社会、個人にワンストップで提供する。