この1月から移行対象となったクライアントPCには、「猶予期間として」(神谷氏)Microsoft OfficeとOpenOffice.orgの2つが同時に稼働していた。そして、マイクロソフトの新OSである「Vista」の発売日翌日となる1月31日、移行対象のPCからMicrosoft Officeが一斉にアンインストールされたのである。
クリティカルな問題は発生せず
現在ダウンロードできるOpenOffice.orgは2.3.0だが、以前よりはMicrosoft Officeとの互換性も高くなっている。とは言え、アシストでOpenOffice.orgに移行したことで問題は生じなかったのだろうか。支援統括部公開ソフト推進部テクニカル・プランナーの簑輪哲彦氏はこう説明する。
「特に心配した基幹システムとのシステム連携部分で利用しているAccessについては、システムの変更をしないですむように、無償のランタイム版をクライアントPCに導入し使うことで対応した。しかしランタイム版を使うことでAccessからCalcに出力する際に数種類のレポートにおいて一部文字化けを起こしました。これはVBのDOコマンドクエリをExcel形式で出力というコマンドを利用していたことで発生していることが分かり、データの取り出し方を変更することで解決できた」
社内でのシステム連携での問題は、このほかに目立ったものがなく、そのほかの基幹系システムとの連携では、現場でテストして問題が起きないことを確認していると簑輪氏は説明している。
システム連携という点でクリティカルな問題はなく、あったとしても業務に支障をもたらすような問題には至っていない。しかし、オフィスソフトは、サーバアプリケーションとは違い、エンドユーザーの操作感が生産性を大きく左右することになる。使い慣れたMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgに移行したことで、クレームを上げる社員はいなかったのだろうか。
「社内ユーザーには、“とにかく使ってください”として、具体的な手当てはしませんでした。というのは、OpenOffice.orgを使っていく上で、どういったところに対して不満を持つのか、機能なのか操作性なのか課題を出してもらうことが目的だからです」(簑輪氏)
社内ユーザーからの不満を実サービスに活用
社内ユーザーからの不満を集約・検討することで、導入支援サービスを始めたときに、顧客企業のエンドユーザーから上がる不満がどんなもので、どのような対応をなすべきかを対策を練っていたのである。また、実サービスへの展開をより良く進めていくために、同社では社内で導入前の10月と導入後の3月にアンケート調査を実施している。