1回目のアンケートでは確かにクレームが多かったものの、2回目のアンケートでは、「“こういうところが分からない”や“こういう機能の使い方を教えてほしい”といった回答があり、機能や操作性に対する疑問がより具体的になった」(支援統括部公開ソフト推進部マーケティング・プランナーの小川知高氏)という。そうした社内での不満や疑問を集めることで、その後の実サービスにおける企業ユーザー内での対策を講じられるようになっているのである。
社内での一般ユーザーの不満や疑問を解消すべく、同社はOpenOffice.org専門のヘルプデスクを設置しており、そうしたヘルプデスクには、Microsoft OfficeとOpenOffice.orgの違いに関する質問、あるいはOpenOffice.orgが搭載している機能に関する質問などが寄せられている(なお、このOpenOffice.orgについてのヘルプデスク設置が、現在のヘルプデスク・サービスにつながっている)。
またこれらのアンケート調査では、エンドユーザーがオフィスソフトをどのように使っているのかを知ることができるようにもなっている。「Microsoft Officeにはこういう機能があったのに、OpenOffice.orgには存在していない」という不満が出てきたときも、実際の「OpenOffice.orgには同じ機能が備わっていた。ただ、そのことをそのユーザーは知らなかっただけ」(神谷氏)といった具合だ。
「仮にMicrosoft Officeに100の機能があるとしても、実際にエンドユーザーはそのわずかしか使っていない。だから、OpenOffice.orgに搭載されている機能を知れば、エンドユーザーはOpenOffice.orgを使いこなせるようになっている」(同氏)
運用の枠組みを決める
企業は、内部だけで文書をやり取りしているわけではない。もちろんそれはアシストでも同様であり、業務を行う以上、外部とOffice専用の(文書なら.doc、表計算なら.xls、プレゼンテーションなら.pptといった具合に)ファイル形式をやり取りせざるを得ない。
ここでのアシストの解決策はこうだ。社外から送られてくるMicrosoft OfficeのファイルはそのままOpenOffice.orgで参照できるので問題ない。また、社外へデータ提供する場合はOpenOffice.orgに備わっているPDF出力機能を使いPDF形式で提供することを基本としているが、先方で加工できる形式を要求される場合は、Openoffice.orgで作成したファイルをMicrosoft Officeのファイル形式で保存し、マイクロソフトが無償で配布している閲覧ソフト「Microsoft Office Viewer」を利用して内容を確認してから送るようにしている。
同社では、こうした「運用の枠組みを決めることで、OpenOffice.orgを導入してから業務に支障が出ているといった大きな問題は出ていない」(簑輪氏)のである。