日本では、企業システム全体が「部分最適システムの集合」として構成されている例がまだまだ多い。たとえばNetBackupの使われ方を見ても、米国では1台のバックアップサーバがサポートするバックアップ対象サーバ数は平均で13〜14台くらいだが、日本では平均3〜4台であり、圧倒的に少ない。こうした点からも「個別最適」でシステムが構成されている現状が分かる。当社では現在のデータセンターの構成がどうなっているのか、どれだけ非効率な状態にあるのか、という点を監査するサービスも始めており、ここを改善していけば大きな成果に繋がっていくはずだ。
以前、Veritasの時代には「ユーティリティコンピューティング」というメッセージを強く打ち出していたが、現在の当社のメッセージの中核は「Storage United」であり、これは「ストレージを切り口に仮想化/標準化を推進していこう」という意味になる。
日本では、統合や標準化を実行する際に「高価なハイエンドストレージに全てをまとめる」という手法に向かうことが多く、コスト削減に繋がらない例が目立つ。当社のソリューションを利用すれば、安価なストレージを上手く組み合わせて適切に使い分けつつ、全体を統合管理できる──そんなメッセージだ。コストダウンのための統合と、柔軟性を高めるための仮想化の活用という両面でメリットがある。
--サービス事業への取り組み
サービス事業の成長率はグローバルで年率30%ほどで、大きな伸びを示している分野だ。提供するメニューの充実にも力を入れていることもあり、今後当社の事業の中でもさらに伸ばしていく計画だ。当社が「ソフトウェアカンパニー」であることに変わりはないが、サービス事業は「Open the Door」のための有力なツールでもある。顧客のところに入っていくきっかけにもなるし、ライセンスビジネスを補完する役割がある。サービスだけに集中するということはないが、今後の重要な注力分野であることは間違いない。
サービスの提供形態については、マネージドサービスのような大手企業を対象とするサービスに関しては、今後当社が直接提供するものが増えていくだろう。もちろんパートナーと組んで提供することもあるが、顧客企業側が直接提供を希望することも多いと考えられる。一方、ミッドマーケットでは当社が直接提供するのは難しい部分があり、こちらではパートナーと組んで提供するほうが主となる。
コンサルティングに関しては、直接提供が主流になっていく。ただし、有力なパートナーについては当社のノウハウを移管するかたちでパートナーに任せることもあるだろう。先日NECとの提携について発表したが、これはそうした例の1つだ。
日本ではセキュリティコンサルティングを実施できる人材がまだ不足しており、現状では需要に応えきれない状態。人材を育てていくような努力を今後も続けていく必要がある。さらに、人材不足は深刻なので、コンサルティングのような「人手で動かしていくサービス」に加え、マネージドサービスのような「テクノロジーで動かしていくサービス」の両面を強化していく必要がある。中でも、どちらかというとテクノロジーで動かしていくサービスを、より強化する必要があるだろうと考えている。