放送局から自治体へ
PCクラスタは、もともとはOSベンダーが手がけていたソリューションで、OSの中を開示してもらわないと開発は不可能だった。同社の要求に応えてOEM供給をしたSunもたいしたものだが、それによってFLIGHT Total Clusterを開発した同社にとってもそれが大きなビジネスチャンスを生み出した。取締役事業企画室長の中原信一郎氏が、FLIGHT Total Clusterのその後の展開をこう説明する。
「その後、世の中ではインターネットを使ったいろいろなサービス事業が始まって、放送事業者だけでなくFLIGHT Total Clusterのニーズは広がってきました。その中で、特に新たな市場として電子自治体のビジネスが始まっています。これもお客様のニーズは、住民サービスを24時間365日止めないということでした。2006年からFLIGHT Total ClusterとOSSを核にした自治体ビジネスを立ち上げ、これが軌道に乗ってきています」
「たとえば」といって示してくれたのが東京都千代田区の事例だ。千代田区は2001年にはオープンシステムへの移行を決定し、それまでのメインフレームシステムを撤去。その後、区役所としての業務を共通化する共通基盤構想のまさに基盤としてフライトシステムコンサルティングのFLIGHT Total Clusterを中心としたシステムを導入している。
全国の自治体の中では、いまだメインフレームに頼っているところが多い。しかしこれはコストもかかり、その運用にはスタッフが常駐する必要があった。昨今の情勢の中で、このようにメインフレームをいつまでも使っていくことはできなくなっている。それに代わる、手軽でコストをかけず可用性を求めるということで同社のクラスタソリューションに注目が集まっている。
社長の片山氏はこうコメントする。
「われわれは“Hardware Minimum、Software Maximum”を訴えてきました。これまでのお客様はハードウェアにお金を使って、本当に必要なシステム環境を実現できていないという現状がありました。そうではなく、IT予算の大半はソフトウェアとシステム開発に使うべきで、これまでハードウェアで行ってきた可用性のかなりの部分はわれわれのクラスタソリューションでカバーできると考えています」
現在、コンピュータは24時間365日稼働するというのが当たり前の時代。サーバが止まらないだけでなく、メンテナンスでもシステム停止は許されないという風潮になってきた。同社はこれまで、個別のコンサルティングやシステムインテグレーションの中でFLIGHT Total Clusterを提供してきたが、今後は独立したソフトウェア商品としても販売していく考えだ。