――SASのソリューションの最大の強みはどこにありますか。
データ統合と分析に特化したSASのEIP(エンタープライズインテグレーションプラットフォーム)を中心にして、ソリューションを展開しています。システム全体がアフターサービス向けのデータモデルを実装することで、各ソリューションの連携を強化しています。その中でも、SPOは他社にはない機能を備えています。一般的に需要予測を立てるには、製品、部品、過去の実績およびイベントなどのデータをシステムに取り込み、時系列で予測しますが、精度の高い予測をするには、専門家が予測モデルの構築と検証を繰り返すなどのステップを踏まなくてはいけません。SPOは、そのプロセスを自動化することで、一定レベルの精度を担保した短期予測を提供できます。
また、長期予測機能も強みです。5年〜10年スパンの製品ライフサイクルをカバーするこのソリューションは、過去の需要パターンをその類似度に基づいて分類し、代表的なパターンに集約しています。対象となる製品が、一定の期間までに上げた実績と、この実績に最も近い需要パターンを比較することで、製品が供給を終えるまでに必要な補修部品の量を予測することができます。
――緻密な計算で予測値を算出しても、業者の手で最終調整が加えられることが多いのでは?
ウェブとExcelから予測結果が参照できるインタフェースを採用していますが、確かに業者の意思が介入してきます。予測在庫の場合、在庫が切れないようにする意思が働くため、予測値よりも高く見積もってしまう。しかし、これは過剰在庫を抱える要因になります。われわれは、在庫計画と実際に必要だった在庫量を比較して、予測精度の高さをアピールしています。予測結果に統計的、論理的根拠を持たせることで、業者に経営の判断材料を提供していくことを目指しています。
――i2 TechnologiesやServigisticsなどの製品は、在庫がなくなると、システムが自動的にサプライヤーから調達をかけたり納期回答をするなど、業務フローもこなします。SASも、このようなソリューションを提供しているのでしょうか。
理論に裏づけられた予測結果を提供することで、業務フローのトリガーになることはできます。しかし、実行形のソリューションではないので、業務フローのオペレーションを提供することはできません。アフターサービス分野において、他社のソリューションと棲み分けができていると考えています。
――今後、どのようにビジネスを展開していく予定ですか?
われわれは、アフターサービス分野でソリューションを統合的に提供する考え方を「サービスインテリジェンス」と呼んでいます。今後、SASのEIP上で、SPO、SWA、SOOの3つのソリューションに加えて、新しく3つのソリューションを展開していく予定です。まだ開発段階ですが、Service Revenue Optimization、Enterprise Production Quality、Predictive Maintenanceを基盤に追加し、既存のソリューションと密接な連携を図っていきたいと考えています。