「技術部会の3つのテーマのうち、私どもはテーマ1のマスタ連携、そしてテーマ2のトランザクション連携を中心に活動しています。当社は『SOLViT(ソルビット)』という基幹業務システムを提供していますが、これと著名な会計パッケージとの連携を進めています。基幹系の会社の経理連携はだいたい決まっているので、その仕訳のインターフェースを図るということをやっています。SOLViTから仕訳のインターフェースに渡すとSSJのSuperStreamでも弥生会計でもつながるということです」
同社はすでに多くの会計パッケージと連携を行っている。中堅・中小企業が導入する会計パッケージとはほとんどつながる。しかしそれは個々のベンダーのインターフェースに合わせたプログラムによるもの。そのため、MIJSの仕訳の標準インターフェースに吐き出しさえすれば、どこの会計パッケージでも使えるというメリットは大きい。
ひとひねりして海外を攻める
安延氏も異なる視点からもMIJSに期待している。
「製品は常にバージョンアップしていかなければならないわけです。たとえばVista対応とか、NTのサポート中止とか……。ベンダーはそれに苦労するわけです。しかしそれをMIJSミドルウェアがやってくれて、その標準に対応していればいいというのは確かに楽ですよね」
安延氏は、日本のソフト産業が弱いというのは間違いだという。
いくつかの理由がある。たとえば米国では、完成したシステムに対する不具合の発生率が非常に高いというレポートがある。一方で、日本は品質に対するこだわりが高く、不具合の発生率もきわめて低い。また、日本のソフト市場そのものも、受託を入れると10兆円を超えるというように巨大だ。一方で、日本語は世界で4つしかない2バイト言語圏で、海外ベンダーから見れば攻めにくいマーケットである。
つまり、日本のマーケットは“居心地が良い”のである。しかしそうなると、どうしても日本から海外へは攻めて行きにくいということになってしまう。そこで安延氏は「ひとひねりが必要だ」という。
「最初から業務パッケージを考えるのではなく、たとえば、組み込みの方から入っていくとか。たとえば、日本が強い自動車のOSならグローバルスタンダードになる可能性があります。組み込み系というのは、それぞれの国の言葉や文化、制度には関係ない世界です。こうした世界でのITが伸びてきていますし、そこで日本は競争力を発揮できると思っています。このようなソフトはいくらでもあります。デジタルムービーの画像編集ソフトとか、携帯電話のスケジューラとか。世界に攻めていくための方法を考える必要があるのではないでしょうか」
ちょっと視点を変えれば、日本のソフトが世界に進出する手だてはいくらでもありそうだ。