エンタープライズ2.0が目指すもの:自己変革型組織に向けた企業革新
米国陸軍ではITの力を活用して人と人、人と情報を最適につなぎ、現場が環境に合わせて自律的に変革を進めていく自己変革型組織へとその組織を変貌させた。この米国陸軍が行った自己変革型組織への革新こそが、エンタープライズ2.0により企業が目指す方向性に他ならない。
環境が瞬時に劇的に変化する今日の企業競争環境では、そのスピードについていける企業だけが生き残る。環境の変化にあわせて自律的に変革を行う自己変革型組織を実現することは、企業の大きな戦略課題となっている。
今日の企業組織では、組織の細分化、専門化、階層化が進行し、それを管理するための管理組織が肥大化したことで組織運営が硬直化してしまい、正常に機能しなくなりつつある。
次々と明らかになる企業不祥事は、老朽化して自浄機能を失った組織の末路である。また、変化のスピードが早く不確実性が極めて高い今日の環境下では、プロセスが明確に定義された組織図型組織は逆に非効率となり、環境に対応ができずに機会を逃したり、情報が全組織に流れずに個別最適に陥ってしまうという状況も起こる。
新しい環境に対応できずに消えていく企業は、こうした組織の弊害を乗り越えられなかったといってよい。
人と人、人と情報を有機的なネットワークでつなぎ、コミュニケーションと情報流通を最適化するエンタープライズ2.0は、これまでの組織の弊害を解決し、自己変革型組織に向けた革新を実現する。
エンタープライズ2.0による自己変革型組織への革新は、環境の変化/不確実性の高い市場環境において「優れた企業」となるための最も重要な要件なのである。
2008年、コストカットやM&Aによる事業構造変化は一段落し、企業は次なる成長に向けた方向性を模索している。こうした中、軍隊から遅れること5年して、「軍隊2.0」への変革は企業にも広がっていく。
エンタープライズ2.0が起爆剤となり、多くの企業が自己変革型組織に向けた企業変革に取り組むに違いない。今年もこの大きな世の中の変化の一翼を皆さんと一緒に担っていければ幸いである。今年もよろしくお願いします。