まとめ
今回、「Yellow Dog Linux 5.0.2」「fedora 8」「Debian Live for PS3」の3つを実際にPS3に導入して「とりあえず」動かしてみた。
PS3 Linuxの登場以来、各所で言われていることだが、やはり、常用のデスクトップ環境として使うには、あまり「快適」とは言えない。これには、PS3のメモリ容量の少なさや、PPCベースとはいえ、独特のアーキテクチャを持つCellの特性が関係しているわけだが、だからといって、「PS3でLinuxを動かすことにはあまり意味がない」と結論づけてしまうのは、あまりに短絡的というものだろう。
筆者としては、PS3 Linuxに関しては、LinuxというOS自体の学習はもちろん、Cell SDKなどと組み合わせて使うことによる、Cellプログラミングの安価な学習、実践環境としての可能性を強く感じた。
「スーパーコンピュータ代わりにPS3--米研究者が実践」「PS3ユーザーに嬉しい知らせ--Folding@homeがギネス記録を達成」といった記事を見ても分かるように、Cellはその特性に最適化したプログラムを作ってやることで、桁違いの演算処理能力を発揮する。
ホビー感覚で入手できるハイパワーなCellプロセッサと、ほぼフリーで入手できるそのプログラミング環境が既にあるという状況を、より多くの開発者が気軽に活用するようになれば、そこから、予想もできないような新しいものが生まれてくるような気がする。
「とりあえず」PS3でLinuxを動かすことに成功した人の中からも、より深いLinuxとCellプログラミングの世界へと足を踏み入れる人が出てくるかもしれない。願わくば、「とりあえず」から始まった読者の皆様のPS3 Linuxライフが、実り多きものとなりますように。
謝辞
今回の記事作成のため、筆者がPS3でLinuxを動かすためのリソースを得るにあたっては、公式サイトの「Open Platform for PLAYSTATION 3」、フィックスターズの運営による「PS3 Linux Information Site」、Wiki CellFan Info、およびTakeshi Yaegashi氏によるWiki「PLAYSTATION 3 Hacks」の各サイトを大変参考にさせていただいた。PS3 Linuxをより深く利用したければ、直接これらのサイトを見ていただくのが近道だ。
貴重な情報を分かりやすくまとめ、公開してくださっている各サイトの運営者の方々に、この場を借りて、心より感謝したい。