米国時間1月15日に発表された「MacBook Air」は、現在発売されているノートパソコンとしては、おそらく世界で最も薄い。しかし、歴代のノートパソコンと比べれば、必ずしも最薄とは言えない。
史上最薄という表現がぴったりなのは、三菱電機とHewlett-Packard(HP)が1997年に開発し、不運な結果に終わったノートパソコン「Pedion」だ。Pedionの厚みは、たったの0.7244インチ(18.4mm)だった。MacBook Airは、いちばん薄い部分こそ0.16インチ(約4mm)だが、いちばん厚い部分は0.76インチ(約19.4mm)あり、Pedionより少し厚みがある。三菱電機がPedionを発売したのは1998年初めのことだ。(編集部注:筆者は本稿執筆後、別のエントリにおいて、史上最薄のノートPCはPedionではなく、シャープの「MURAMASA」だったと、訂正している。厚さ0.54インチ(約1.37cm)のMURAMASA Actius MM10は2003年に発売された)
しかし、Pedionは、性能や価格の面では必ずしも優れているとは言えなかった。Pedionの価格は約6000ドルで、64Mバイトのメモリと1Gバイトのハードディスクを搭載し、剛性を確保するためにマグネシウムの筐体を使用していた。だがそれでも、機械的なトラブルなどさまざまな問題が、発売後すぐに購入者から寄せられるようになった。その後、三菱電機はPedionを市場から引き上げることになってしまった(HPは自社版のPedionを発売しなかったはずだが、後で確認してみよう)。おそらく、HPのブランドも助けにはならなかっただろう。「Circuit Cityの店員諸君は注目。私のところにはPedionが1台あるんだ」
Appleは、MacBook Airを世界最薄のノートパソコンと称している。しかし、それをどう受け取るか(現在販売中の製品の中でなのか、歴代のノートパソコンの中でなのか)はユーザー次第だ。
MacBook Airといい勝負だが、ほんの少々及ばないノートパソコンならまだある。たとえば、2004年に販売されたソニーの「Vaio X505」は、MacBook Airにかなり肉薄している。Vaioの製品ラインを記念する限定モデルとして発売されたVaio X505は、いちばん厚い部分が約0.8インチ(21mm)、いちばん薄い部分が約0.38インチ(9.7mm)だった。また、筐体の一部には、剛性を確保するためにカーボンファイバーが用いられていた。
現在ソニーが発売している最薄のノートパソコンは、最も厚い部分が1.2インチ(30mm)、最も薄い部分が0.8インチ(約20mm)だ(それにしても、もし大学時代に、社会人になったらノートパソコンの薄さについて議論することになると思うかと聞かれていたら、私は一笑に付していたことだろう)。