「ストレージの役割は変わった、今後は環境問題にもフォーカスする」--SNIA会長 - (page 2)

宍戸周夫(テラメディア)

2008-01-22 08:00

環境問題もストレージがポイント

――このところ、環境問題への対策として「Green IT」がIT市場の最大のテーマといわれるようになってきています。SNIAではどのような取り組みを推進する計画ですか。

 確かに今、IT市場ではGreen ITという言葉が叫ばれていますが、これは非常に重要なテーマだと考えています。この分野では、例えばデータセンターの省エネルギー化を推進するGreen Gridなどの団体が取り組みを進めています。SNIAではこうした団体と協調しながら、特にストレージという分野に特化して環境問題を考える組織として、2007年10月にGSIという組織を立ち上げたことは紹介した通りです。

 ここでは、あらゆるストレージネットワークについての省エネルギー対策や環境保護、そしてデータストレージオペレーションの環境に与える影響を最小化する取り組みを推進しています。特に、現在のユーザーは数多くの種類のストレージを導入していますので、単にストレージ単体の環境問題を考えるだけでなく、オペレーションレベルでの省エネルギーや環境問題を検討する必要があると考えています。

 また、データセンターではサーバとネットワーク、そしてストレージが一体となって稼働していますので、ストレージだけにとどまることなく、他のシステムと連動したグリーン化の取り組みを推進していく必要があります。それによって、ITシステムのユーザーが省エネルギー、省電力化を進めるための指標を提供していきたいと考えています。そのため、GSIの他にGreen Storage TWG(技術作業部会)を設置し、具体的かつ技術的な測定基準や測定値を策定していく考えです。

――教育および認定ということにも、さらに力を入れるようですね。

 SNIAの教育および認定プログラムは単にストレージという業界にとどまることなく、IT開発者、製品を開発する人々、そしてエンドユーザーに対してもITプロフェッショナルとなるためのものと位置づけています。そして、こうした教育および認定プログラムは2008年も引き続き力を入れていくテーマです。

 現在、SNIAではそれぞれの技術者のレベルに応じて認定プロフェッショナル(SCSP)、認定アーキテクト(SCA)、認定エンジニア(SCSE)、認定エキスパート(SCSN-E)という4つの認定資格を実施しており、すでに2300~2400人の認定技術者を輩出しています。

 このうち認定プロフェッショナルは日本語でも受験可能です。英語以外でも受験できる環境が整っているのは日本だけです。これはSNIAの活動のグローバル化の一環ということができます。

――最後に、日本のIT化はどうしても欧米の取り組みに比べて遅れているという指摘があります。SNIAというグローバルな業界団体の中でそれを感じることはありますか。

 SNIAの中でもそれぞれの地域で状況に違いがあり、異なる要求があります。日本についていえば、他の地域に比べていまだメインフレームストレージが重要な役割を担っていおり、NAS市場がまだ小さいという特徴があります。SANの導入についても、他の地域に比べるとまだ小規模です。しかし、それぞれの地域で多少の違いはあっても、大きな潮流は変わりません。SNIAの日本支部も毎年市場調査を行っており、こうした潮流をとらえてグローバルな潮流と比較する取り組みを進めています。

 それと並行して、SNIAそのものの役割が変化していることを改めてお伝えしたいと思います。SNIAが設立した10年前は、ITシステムの中ではサーバが中心で、ストレージは周辺機器という位置づけでした。しかし現在はGreen ITでも仮想化でも、ストレージがITシステムの中で果たす役割が増大しています。データセンターでもサーバ、ネットワーク、ストレージの3つが同様に重要な役割を担っています。SOA(サービス指向アーキテクチャ)においてもストレージが重要な役割を担っており、情報を共有するストレージがITシステムの進化を担うようになったと考えてよいと思います。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]