だが、新たなデータセンタに関するCiscoの見方は、他社とはかなり異なる。IBMとHewlett-Packard(HP)は、サーバ中心の傾向が強い。一方でEMCは、ストレージという角度からデータセンタに注力している。これらに対しCiscoは、Nexus 7000を中心に据えたインテリジェントなネットワークをデータセンタ仮想化の最適解だと考えている。
とはいえ、顧客をCiscoのビジョンに賛同させるのは、必ずしも容易なことではない。Ciscoがデータセンタの仕組みを一変させれば、IBMやHPなど、最も有力な最大手のパートナーの一部と対立する可能性がある。
Yankee GroupのKerravala氏はこう語る。「Ciscoは、新たな競争の局面に突入しようとしている。Ciscoはもはや、3ComやNortel Networksと争っていない。今後は、これまでパートナーだったIBMやHPと競合することになるだろう。難しい戦いだ」
だが、Kerravala氏は、Ciscoのアプローチは潜在的なライバルと比べて有利だと考えている。第1に、Ciscoはこれまで、市場の移行を読み取り、各局面での傾向を踏まえて行動するのがうまかった。数年前にデータセンタに力を注ぎ始め、SAN設備、仮想化ソフトウェア、ワイドエリアネットワーク(WAN)最適化技術といった製品の開発を徐々に進めてきた。その上、従来のスイッチやルータはこれらの製品群にぴったり適合している。Nexus 7000はこうした戦略の統合に役立つだろう。
第2に、ネットワーキングにおけるCiscoのコアコンピテンシーは仮想化革命に適している、とKerravala氏は指摘する。メモリやストレージといったコンピューティングリソースが増強されれば、これらをネットワークを通じて結びつけることが必要になる。こうしたネットワークをインテリジェント化し、より効率的な方法でリソースを利用することが、今後重要になる可能性が高い。
こうしたデータセンタのビジョンが正しいアプローチであることを顧客に納得させるのは、Ciscoの大企業向けビジネスにとって極めて重要なことだ。なぜなら、会社に新たな利益をもたらすうえ、既存のルータおよびスイッチのビジネスの価値を高めるのにも役立つからだ。単純な理屈だ。Ciscoがネットワークを価値ある資産にすることができれば、ネットワークの他の部分のルータやスイッチの販売を高い利益率で継続することができる。
そうなれば、Ciscoは企業幹部たちへの影響力を高め、自社製品に購入するよう企業を誘導することができる。
Taneja氏は、「Ciscoはこれまでずっと、大企業にとって重要な機器納入業者だった。だが、これでより高い位置に立てるだろう。Ciscoは戦略的提携の焦点になるだろう」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ