規模の経済を追求するビジネス
ラクラスは、MIJSには2007年10月に参加。いわばMIJSの“ニューカマー”だ。そのためなのか同社の企業コンセプトは斬新だ。MIJSの他のメンバーとはちょっと立ち位置が違う。3年前、同社を創業した社長の北原佳郎氏はこう言う。
「当社は人事情報処理のソフトを開発していますが、そうしたソフトを販売する会社ではありません。ソフトはあくまでもサービスを提供するためのツールです」。MIJSは国内の代表的なパッケージソフトベンダーが名を連ねている。その中でラクラスは、ソフトウェアは開発するが、パッケージとして売るビジネスは行わない。ビジネスモデルは、業務請負に情報技術を活用した統合型アウトソーシングサービスだ。
北原氏はさらに、「アウトソーシングは規模の経済で成立するビジネスです」と言葉を続けた。「アウトソーシングは、規模が大きくなればなるほど、お客様に安価でサービスが提供でき、ひいてはアウトソーサーの収益も上がります。その点、コンピュータは規模の経済を実現するには非常によいツールなのです。ひとつのシステムの中で大量のデータを処理すればコストは下がります。規模の経済を追求するならば、最先端の情報技術の開発が不可欠です。これが当社のビジネスの原点です」
1つのサーバで複数の会社のデータを処理できれば、当然1社あたりのコストを低く抑えることができる。「われわれの方が経験やノウハウがある」とか「われわれののスタッフの人件費のほうが安い」というビジネスモデルよりも、コンピュータを活用して規模の経済を追求していく方が優位性が高い。そうした思いが同社の“ツール”である人事情報システム「Lacrasio(ラクラスイオ)」に込められている。
同社の主力サービス、Lacrasioの中心となるシステムはWebワークフロー、人事情報データベース(DB)、そして給与計算システムという3つのモジュールである。人事ソフトのベンダーはこれらのソフトウェアをパッケージとして販売している。また、給与計算を本業とするアウトソーサーは、給与計算の部分だけを代行している。それに対して同社は、ワークフローで情報を集め、その情報をDBに蓄え、そして最後に給与計算を行うという3つの業務を、アウトソーシングサービスとして提供している。「ユーザーが本当に求めているのは給与計算の結果だけです。給与計算ソフトが欲しいわけではありません」と北原氏は言う。