PDFファイルとなった稟議書には、PDFファイルの閲覧ソフトである「Adobe Reader」でコメントを書き込むことができるだけでなく、書き込まれたコメントは修正できないようにもなっている。加えて、承認・否認が記録された稟議書は改竄できないPDFファイルにすることで、紙の稟議書と同じ真実性を保持することができるのである。IHIと同様に「ある金融機関でも社内稟議書システムにbiz-Streamを活用している」(海藤氏)という。
紙と同様の効力
帳票の出力形式をPDFファイルにすることは、IHIの事例とは違ったメリットをもたらす。ある一部上場企業では、数千人という従業員を抱えているが、彼らに配布する給与明細はPDFファイルでメールで送信されるという。PDFファイルの給与明細を受け取った従業員は、パスワードを入力することで初めて自分の給与明細を見ることができるのである。仮に他人の給与明細が添付されたメールを受信してしまっても、パスワードが合わない限り、見ることはできない。
これらの事例を見れば分かるように、デジタルの帳票であっても、もたらされる効力は紙と同様のものであることが分かるだろう。

biz-Streamは、業務アプリケーションやデータベース(DB)、ウェブアプリから入力されたデータなどを、オンデマンドでPDFファイルとして出力することができるようになっている。こうした特徴を持つbiz-Streamについて、ブレインセラーズ・ドットコムのソフトウェア事業部ソフトウェア技術部プロダクト・マーケティングの青柳敦氏は、「次世代型オンデマンド帳票ソリューション」という言葉で表している。
この“オンデマンド”であることのメリットをよく分かるのが、大手飲料会社での導入事例だ。
ワインをDB化してカタログに
この会社では、数千種類というワインを販売しているが、ワインは季節ものであるため、取り扱う種類が頻繁に入れ替わるのだという。このため、紙によるカタログを作成することができないという課題を抱えていた。カタログを作っているそばから、販売できるワインが入れ替わるのだ。