Acid3はウェブコミュニティーのために、ウェブコミュニティー自身が作成している。同テストの編集を手がけるのは、Ian Hickson氏だ。同氏はあらゆるブラウザについて、バグの存在を暴くテストケースを記述する特殊な才能を持っている。その一方で、他の人たちにも助力を求めており、コードの投稿も積極的に受け付けている。
Acid2とAcid3は、いずれもブラウザのデフォルト設定でテストするよう定めている。ウェブユーザビリティの権威、Jakob Nielsen氏は検索結果のトップに表示されたものがクリックされることが多いという研究結果を引き合いに出して「デフォルトの力」を論じているが、これは検索以外の多くの分野にも当てはまる。
人は、新たなブラウザをインストールするよりは、最初からマシンにインストールされていたデフォルトのブラウザを使いたがるものだ。また、ファイルを保存する際にも、わざわざ形式を変換するよりデフォルトの形式で保存する傾向がある。そして、ウェブブラウザに関しても、設定を変更しないままデフォルトの設定でウェブドキュメントを閲覧することが多い。
私がこの記事の冒頭でIE8はAcid2に合格しないと予測したのも、こうしたユーザーの傾向があるからだ。IE8は持って回ったやり方でウェブ標準をサポートするのがせいぜいのところではないだろうか。つまり、Microsoftは「デフォルトの力」を行使し続けるわけだ。
さて、IE8をインストールしたとして、アドレスバーに「http://webstandards.org/acid2」と打ち込んだらどうなるだろう? テストを実行したとき、Acid2の笑顔は正しく表示されるのだろうか?
Microsoftには既にこういう質問が寄せられているが、同社からの回答はないままだ。私は、Microsoftが3通りのシナリオを検討していると思う。
1つ目のシナリオは、IE8をウェブ標準に準拠させるかどうか、ユーザーやコンテンツ制作者に「オプトイン」形式で選択させるというものだ。たとえば、Acid2を正しく表示させるために、ユーザーはデフォルトの設定を修正するよう求められるかもしれない。これはAcidテストのガイドラインから外れているため、このシナリオでは、IE8はAcid2に合格しないことになる。