マイクロソフト、米ヤフー買収提案で再び独禁法訴訟に直面か - (page 2)

文:Declan McCullagh(Special to CNET News.Com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル

2008-02-04 14:38

 合併審査の基準には合併が競争の状況にどのような影響を与えるか、そして合併によって消費者の福祉が向上するのか悪影響を受けるのかといった点についての審査が含まれるが、これまで紹介した意見は従来の合併審査の基準を改めるように要求しているリベラルな権利擁護団体の取り組みを代表するものである。この新しいアプローチは、合併した企業による製品のプライバシーの観点から見た「品質」が低下する可能性があると主張するものである。

 一方、Microsoftは米国や欧州の独禁法をめぐって規制当局とは長い付き合いがある。こうした企業はAT&TやIBMなどを除けばほとんど存在しない。しかし、独禁法の裁判(1998年に始まり、裁判所監督の和解に至った)以来、ワシントン州やワシントン特別区との関係ははるかに良好になっている。

 Microsoftの幹部はもはや司法長官に対して悪口を言い放つこともなく、政府は「Microsoftの活力を鈍化させようとしている」とのBill Gates氏による非難声明もmicorsoft.comから姿を消している。現在ではMicrosoftは他のどのハイテク企業よりもはるかに多く金額をロビイストに費やしており、彼らを送り込んで長年のライバルであるGoogleを弱体化させる政治プロセスを駆使するための安定した政治的地盤を十分に確保している。

 ニューヨーク大学ロースクールのゼミでMicrosoftの独禁法違反の事例を教えている教授のHarry First氏は、現時点で可能性のあるMicrosoftによるYahoo買収を独禁法違反の事例として立件できるかどうかを「すぐに判断するのは難しい」と指摘する。しかし、最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏が、Googleに対抗することが、2つの企業の合併が必要な理由の1つであると事実上ほのめかしていたが、このような発言は勧められないとも述べる。

 「ナンバー1に対抗するためにナンバー2とナンバー3が合併しなければならないという議論は、一般に独禁法違反を回避するための論拠としては説得力がない」とFirst氏は言う(First氏はいずれの3社でも法律業務の経験はない)。「市場で集中度が高まるにつれて競争は少なくなる可能性がある。なぜなら3社(の競合会社)が2社になるからである」(First氏)

 「これらの2社を相手取って訴訟を起こす論拠となる潜在的な争点は数多く、原告となる可能性のある潜在的な当事者も欧州当局から連邦政府まで多数存在し、さらには米国各州も訴訟に関心を示す可能性がある」とFirst氏は指摘する。「もしMicrosoftがこうした訴訟をクリアしてしまったら、われわれは困った状況に陥るかもしれない」(First氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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