インテル、Silverthorneプロセッサの詳細を一部発表 - (page 2)

文:Tom Krazit(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル

2008-02-06 11:58

 しかしIntelにとっては不運だが、これはあまり適切な設計ではなかった。これほどまでに高速に動作するチップはあまりに発熱が大きすぎ、特に漏電電流の問題も顕著なため、Intelはパイプラインのステージ数を減らした「Pentium M」マイクロプロセッサを設計した。このプロセッサはステージあたりの処理量が増えたため、より低速で動作し、発熱量を抑えることが可能になった。最終的にこうした設計原則がCoreシリーズのプロセッサにも取り込まれ、Intelはかつての勢いを取り戻した。

 したがって、現時点で最も本格的な低消費電力化の取り組みでパイプラインのステージ数を2つ増やすというのはいささか驚くべきことであるが、Intelはインオーダーパイプラインに切り替え、ハイパースレッディング機能を追加することによってこの問題を回避した。この組み合わせによって、Intelの社内試験において最も効率的な消費電力あたりの性能が達成されたとGerosa氏は述べている。

 Silverthorneでは何種類かの低電力状態も採用されている。低電力状態とはソフトウェアから要求されていないときにはプロセッサの一部の要素を停止することを指す。IntelはSilverthorneでは動作時間の90%が、同社がC6と呼ぶ最も深いスリープ状態になると推測している。C6ではほとんどすべての機能が停止し、新しい処理命令が入ってきたらチップは100マイクロ秒で動作状態に戻るとGerosa氏は説明する。

 その結果、IntelではSilverthorneの平均消費電力が「数百(ミリワット)程度」になると述べているが、これはかなり大きな成果のように思える。これはバッテリ寿命にとっては好都合だろうが、小型のモバイル機器を作る場合には実際にはあまり関係がない。Silverthorneを使用する場合には、このチップが全速力で動作するときに消費する2ワットの電力をフルに扱える機器を設計しなければならないからだ。

 結局、x86系のチップをモバイル機器に搭載させるためのIntelの売り文句は、こうした機器では「Windows」やあらゆるPC用ソフトウェアが使用できるという点に尽きる。Intelではモバイル機器向けのOSとして徐々に「Linux」も売り込むようになっている(そして他のモバイルOSの動向にも目を光らせている)が、Silverthorneが発揮する全処理能力が必要になるタスクも存在する。

 Intelとパートナー企業が発表したSilverthorne搭載のMID(Mobile Internet Device)は、現在のところあまり売れ行きの良くない旧来のMIDとそれほど違うようには見えない。ARMが携帯電話向けに設計したチップを搭載した、Nokia、サムスン電子、Appleから発売されている小型のスマートフォンに対抗するにはまだちょっと大きすぎる。

 この分野でIntelから有力な競合製品が出るようになるには、おそらく数年後に「Moorestown」チップが完成するまで待たなければならないだろうが、Silverthorneはそこに至る途上の重要なプロセッサではある。2008年の中ごろまでに人々がSilverthorneを搭載したMIDに関心を示すかどうかについてはこれから成り行きを見守ることになるが、同時にその頃までにはわれわれ消費者もSilverthorneの性能を本当の意味で判断できるようになっているだろう。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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