ひと言にビジネスインテリジェンス(BI)といってもさまざまな解釈がある。それは、提供される製品によっても、提供するベンダーによっても変化する。BIにおけるマイクロソフトの基本スタンスは、できるだけ多くの人に利用してもらえる製品を提供すること。これはBI製品に限ったことではないが、ビジネスを効率化し、業務の生産性を向上させることを最大の目的としている。
マイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャである米野宏明氏は、「企業の生産性を向上させるには、現場の生産性を向上させなければならない。また、いかに現場の担当者の意思決定スピードを向上するか、より高い価値を導き出すかが重要になる。ビジネスをITで支援する取り組みとして、さまざまなBIソリューションを提供していく」と話す。
寡占化が進むBI市場
BIソリューションは、マイクロソフトの中でも長い歴史を持つ分野のひとつだ。現在のBI市場について米野氏は、「ここ1〜3年で大きく空気が変化してきた。我々が提供する製品のポジショニングにも関係するが、BI市場そのものの雰囲気が大きく変化していると感じることが多くなった」と話す。
2007年には、3月にOracleがHyperionを33億ドルで、10月にSAPがBusinessObjectsを68億ドルで、11月にIBMがCognosを50億ドルで買収することを発表。寡占化が進んだこともBI市場の変化のひとつといえる。米野氏はまた、ユーザーの意識が変わってきたことも指摘する。
「これまでのBI市場は、BIツールが中心だった。しかし現状では、BI市場とBIツールはイコールではなくなった。また、セントラルウェアハウスを構築したデータ分析は、特定分野では必要だが、一般企業のBIでは、すべてのデータを統合して分析を行うというニーズは少なくなっている」
これまでのBIベンダーであれば、必要なデータをひとつのデータウェアハウスに統合し、情報共有を行うアプローチを推奨していた。この方法が有効な業務は残っているものの、一般のユーザーにとってはデータが一個所に集約されている必要はなく、必要な時に必要なデータを取り出せればよい。
米野氏は、「重要なのは、その企業の経営環境が変化したときに、迅速かつ柔軟に変化に対応できるBIソリューションを実現すること。ユーザーは、現実的な情報収集の仕組みを求めている」と話している。