“8対2”に対応する帳票デリバリーASP--ネクスウェイ:実は重要な帳票(4) - (page 3)

宍戸周夫(テラメディア)

2008-02-13 19:30

“届いていくら”のサービス

 FNX e-帳票FAXサービスは、いわば帳票デリバリーのASP型サービスである。料金は、帳票1枚いくらという計算で、後は通信料金。これは“届いていくら”で、万一届かなければ料金は発生しない。というより、確実に届けるというのが同社のこの事業にかける最大のポイントだ。

 山本氏はこう指摘する。

 「われわれは帳票のデリバリーを担っているので、それがストップすると欠品や生産ラインが止まるということもあるわけです。そこで、このサービスへの品質に対する要望は非常に高いものがあります。お客様は、この部分をアウトソースするにしても、品質にはこだわる傾向があります」

 そのため同社は当然のようにシステムを二重化し、また個人情報の管理を徹底している。もちろん、通信事業者としてのレベルは保っている。送信された結果は「FNX navi II」というサービスで、ウェブから簡単に確認でき、また送信帳票を別の宛先に転送するなど、さまざまな対応が可能になっている。

 すでに、さまざまな事例がある。ある機械工具メーカーは、基幹システムのリニューアルに合わせて、FNX e-帳票FAXサービスを導入した。同社は200万点にも上る機械工具などを扱っており、当然ディーラーからの注文に迅速かつ正確に対応することが求められる。しかしメーカーやディーラーとの受発注に関わる業務には多くの時間が費やされていたという。

 たとえば、ディーラーの注文をファクスで受けると、端末で受注処理し、在庫がなければ発注する。その際は発注書をプリントし、これをコピーしてファクス送信、さらにメーカーからの回答書を受信すると、これをディーラーへ回答としてファクス返信するといった具合だ。

 これをFNX e-帳票FAXサービスが解決した。この作業は基幹システムにデータを入力し、後は受注書と回答書を同時に自動送信すれば終わりとなった。プリント用紙や産業廃棄物となってしまう帳票用紙も削減することができた。

 また、ある菓子の卸売業は、業界専用VANなど受発注業務のシステム化には積極的に取り組んできたが、業界特有の事情で取引先の半数がEDIに対応できないという事情があった。菓子の製造メーカーは全国に点在しており、またその多くがごく少人数で経営しているところだからだ。システム化には消極的なのである。

 そこで同社はネクスウェイのFNX e-帳票FAXサービスを導入、担当者は通常のEDIデータ作成と同様の操作をするだけで、自動的に指定の帳票レイアウトに変換され、指定の宛先に送信されるようになった。

 今後も、ネクスウェイはFNX e-帳票FAXサービスをさらに強化していく考えだという。当面は帳票の多様化に対応、その後はウェブやメールの機能も取り込む。さらには請求書などでは必要な郵送もサービスの一機能として備えていく。

 受発注業務の効率化は、決して電子化だけでは解決しないのである。

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