企業の吸収合併において長く支持されている理論では、ファンドファミリーは、企業体として自社が受け取る純利益に基づいて議決権を行使するものだ、とYoung氏は説明する。
「Yahoo株とMicrosoft株の両方を保有する投資家は、おそらくYahooに対し、(買収の)条件改善を求める姿勢は支持しながらも、Microsoftと言い争うことは控えるよう求めるだろう」と、Young氏は予想する。
プロクシーソリシターも同様の見解を示し、Microsoftが1株当たり31ドルという一方的な買収を提案してからこれまでの2週間に、両社の株式を保有するYahooの投資家には、各ポートフォリオへの影響を評価する時間があったと指摘する。
あるプロクシーソリシターはこう語る。「投資家たちは漁夫の利を得るのが非常にうまい。たぶん、できるだけ高い提示額を引き出すようYahooに要求しながらも、物別れに終わらせるなと言っているはずだ」
こうした投資家の一例が、Matrix Asset Advisorsだ。16億ドルの資産を運用する同社は、以前からMicrosoft株を保有しており、最近になってYahoo株も手に入れた。
株価が20ドル台半ばで推移していたときにMicrosoft株を取得したMatrixは、2008年1月にYahoo株に目を向け、43万5000株を購入した。
Yahooの発行済み株式に対するMatrixの保有株式の割合は、Microsoftにおける保有株式の割合を下回っているが、同社は提示額の引き上げを求めるYahooを支持している。
Matrixの首席投資アドバイザーを務めるDavid Katz氏は次のように述べた。「Microsoftが現在提示している金額は、基本的には妥当だ。ただし、Microsoftがもう少し払ってもいいというのなら、値を上げて揺すぶりをかける余地がある。Yahooに1株当たり40ドルの価値があるとは思わないが、1株当たり33〜35ドルならどうだろうか。条件が整えば、そのあたりの額が双方にとって望ましいだろう」
Microsoft株は買収提案の発表以来値を下げているが、Kats氏は、それも短期間のことだろうという考えを示し、Yahooの買収によって長期的にはMicrosoftの株価は上がる、と付け加えた。