ビジュアル帳票に特徴
もともとPostScriptの表現力に注目して製品開発に乗り出したこともあり、同社の帳票は特にビジュアル表現に特徴がある。
「グラフは、帳票業界ではわれわれが最初に手がけました。カラーなどにも積極的に取り組んでいますし、ビジュアル系に強いという特徴があります」
日本人は罫線や行間ピッチなど帳票には独特のこだわりがあるが、江崎氏は「グラフでもこだわりがある」という。それが帳票をBtoBの世界からBtoCの世界へも広げている。インフォテック・アーキテクツは、ビジュアル帳票を基盤に、その“BtoC帳票”で数多くの実績がある。
その一例として上げてくれたのが、ポーラ化粧品本舗の導入事例だ。ポーラ化粧品はCreate!Formを使って、顧客へのカウンセリングの基本となる「肌分析アドバイスシート」を打ち出し、提供している。このシートも帳票である。このシートは、肌評価の解説文とともに肌の画像データや肌状態を示すグラフや図表、ケアプログラムチャートなど豊富な表現手法を用いているが、れっきとした帳票だ。
「一見、帳票か? と思うかもしれませんが、このようにレーダーチャートやカラーを使ったものも帳票なのです。結局、コンシューマーに届くのは帳票しかないのです。ペーパーレスといいながらなかなか紙が減らないといわれていますが、今はこのようにBtoCの帳票が増え、結果的に紙が増えているのです」
Create!Formが作り出す帳票のカテゴリは事務処理的な帳票、ビジュアルな帳票、そして複合帳票の3つと説明したが、それは企業同士のBtoB帳票、コンシューマー向けのBtoC帳票、そしてオフィスの集計表というようにも定義できる。そして、同社の中で今増えているのは、このBtoC帳票だという。
「ちょっと気がつかないのですが、たとえばコンビニで支払う電気やガス、水道、電話などの請求書、塾の成績表、健康診断のレポート、保険の案内など、今ではこうしたコンシューマー向けの帳票が増えています。各家庭に届いているものは、100%帳票といってもよいと思います」
従来は汎用機のラインプリンタで画一的に出力して送付していた、こうした書類や請求書、契約書のたぐいも、現在では個別の要求に合わせて多品種少量という形になっている。帳票は電子化され消えゆくものと指摘する声もあるが、しかし宅配の伝票も、アマゾンの出荷案内も、生協の領収書もすべて帳票であり、これはそれぞれ工夫され、ビジュアル化され、見やすくなっている。
「ペーパーレスといいながら、帳票はなくならないと思いますよ。ネット時代になって電子化が進んだことは確かでしょうが、しかしわれわれの業績もネットの普及とともに拡大しています」