また米国のあるカバンメーカーでは、プロジェクトメンバーが拡散しているという問題を抱えていた。問題を解決するにはフェイス・トゥ・フェイスの会議が必要だとの認識から、同社ではHD対応のビデオ会議システムを導入している。
導入後、各拠点のメンバー間で遠隔地同士のコラボレーションが容易に行われるようになっている。これにより、プロジェクトの推進が以前よりもスムーズに、確実にかつ効率的に展開できるようになってきていると説明している。また、製品の細かなディテールや色合いもHD対応のビデオで共有できるようにもなり、新製品の導入スピードが速まるようになり、企業間競争力も増加の傾向を示すようになっているという。
HD対応のビデオ会議システムはまた、違う局面でも活用されている。米国ニューヨーク「Manhattan School of Music」という音楽学校での事例だが、遠隔地をビデオ会議システムで結んで、ジャズセッションを行っているというものだ。
HDXシリーズは2006年11月から日本国内で提供されており、最近では大企業のみならず「中堅・中小企業からも引き合いが来ている」(青木氏)という。そうした企業の中では、海外でオペレーションの必要性からHDXシリーズに魅力を感じていると青木氏は説明する。開発・製造・販売がそれぞれ異なる拠点間では、やはりビデオ会議システムが必要という認識があるからだ。
没頭できるビデオ会議システム
HD対応が進むビデオ会議システムだが、これをさらに進化させて注目を集めているのが、テレプレゼンスだ。その目指すところは、遠隔地にいる相手がまるで目の前にいるかのように会議できるという状況にある。
ポリコムが提供している「Polycom RealPresence Experience High Definition」(RPX HD)シリーズも、そうしたテレプレゼンスの代表格と呼べるものだろう。同社の場合、単なるテレプレゼンスではなく、“イマーシブテレプレゼンス”と読んでいる。イマーシブ(immersive)とは「没頭できる」という意味だ。