他の専門家も、CEOが従業員からの自分の人気度に過度にとらわれてしまう危険性が非常に高いと指摘する。「人に好かれるのがCEOの仕事ではない」と著述家のMichael Abrashoff氏は指摘する。「CEOは結果に対して責任を負うが、従業員から尊敬を得られなければ結果を出すことはできない。しかしビジネスを運営する上で従業員の尊敬を得ることは必要だが、単に従業員に好かれることがCEOの義務だと思ってはならない」(Abrashoff氏)
「世間には従業員から好かれようと無駄な努力をしているCEOがたくさんいる」とPastor氏も同意する。「好かれることが従業員からの批判に対する解決策になるとは限らない。従業員はCEOが有能であることを知りたがっており、従業員は自分の判断に従って正しい評価をしようとする」(Pastor氏)
実際に、CEOと従業員の視点の違いから、一部の評価の食い違いを説明できるかもしれない。「従業員が上司を評価する場合には、そこに強い利己的な要素が存在する」とPastor氏は指摘する。「従業員は主として自分が重んじられ、適正な報酬を与えられているかによって上司を判断する傾向がある。従業員が関心のあることは、CEOは自分に対して十分な時間を割いてくれているか、自分が組織で出世する道が開かれているかということだ。
一方、CEOは同時に複数の支持者の要求を調整しなければならない。CEOは従業員を管理するとともに株主や取締役会に対しても責任を負わなければならない。さらに、顧客の擁護者になり、競合他社の動きにも注意しなければならない。CEOは注意や資源をこうした複数の方面に振り分けなければならないため、場合によっては1つまたはそれ以上のグループが無視されたと感じることもあるかもしれない。これらのことを総合すると、従業員とCEOの評価がある程度分かれるのも仕事の一環としてやむをえないといえる。
CEOがなぜ自分の能力や特性を過大評価するのかについては、これを正当化できるもう1つの理由がある。常にすべての人の目がCEOに向けられているため、ある程度の自信を持っていることがCEOの職務を遂行するための前提条件になる。「自分の能力を良い方に誤信するようなリーダーを持つべきだ」とSutton氏は言う。「事態が悪くなったときに職務を遂行できなくなるほど自信喪失してしまうCEOは誰も望まない。たとえ事情がよくわからない場合でも、自分が責任者だという堂々とした態度を見せなければならない。時にはピンチを切り抜けるまで自信家を演じつづける必要がある」(Sutton氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ