今では公然の秘密となっているようだが、MicrosoftとIntelは米国時間3月18日、パラレルプロセッシング(並列処理)の研究活動にさらなる資金を共同で拠出することを発表する予定である。さまざまな業界ニュースで報じられている。
EETimesはこの「Wintel」カップルが、カリフォルニア大学バークレー校における新たなパラレルコンピューティング研究所の資金を援助することを発表する予定であると報じている。一方Microsoft関係者はこの報道を公には認めていないが、同社の広報担当者は、18日の発表が、Microsoftの継続的なマルチコア研究への関心に関係していることは認めた。
Microsoftはマルチコアあるいは並列処理の分野で、独自の研究や商業イニシアティブをいくつか進めている。同社は2007年終わりに、「Parallel FX」のテストビルドをリリースした。これは「Visual Studio」のパラレルコンピューティングに拡張する一式である。Microsoft Research関係者は、「MS-ManiC(Memory Systems for Many Cores)」プロジェクトに取り組んでいるが、これはマルチコアプロセッサの拡張可能なメモリシステムの設計に注力したものである。
同Researchチームはまた、マルチコアコンピューティングに関する3年間の研究プロジェクトに資金を調達するためのRFP(提案依頼書)を提出している。この「Safe and Scalable Multicore Computing」RFPでは150万ドルを要請しており、同チームは1回平均16万6000ドルを9回にわたり供給されることを期待している。このRFP提案は先週が期限となっており、受領者は2008年4月23日に通知される予定である。
Microsoftの並列処理プロジェクトのひとつで筆者が大いに注目しているのは「Dryad」である。これは大規模な(何千というサーバの)パラレルアプリケーションのためのMicrosoftによるDCE(Distributed Computing Environment)インフラである。DyradはMicrosoftがGoogleの「MapReduce」技術に対抗したものである。Dyradではマルチコアの単一のコンピュータから、小グループのコンピュータまたは何千台ものコンピュータを備えたデータセンターにまで拡張できるとMicrosoftは述べている。
Microsoft Researchのサイトには、Microsoftの研究者グループが、来週ポルトガルで開催される「European Conference on Computer Systems(EuroSys)」において発表する予定のDryadに関する新たな研究論文が掲載されていた。
Dryadは純粋な研究ではない。MicrosoftのadCenterオンライン広告チームは同技術を現在利用している。この研究論文によると:
「SQL Server Integration Services(SSIS)[6]はSQL Serverの単一のインスタンスのワークフローベースのアプリケーションプログラミングをサポートしている。MSNのAdCenterチームは、Dryadが提供する、コミュニケーション、スケジューリング、フォールトトレランス(耐故障性)を備えた、さらに大きな分散グラフでローカルSSIS計算を組み込んだシステムを開発した。」
Windows Live SearchチームもまたDryadを利用しているようだ。再び同論文はこのように述べている:
「Windows Live SearchのCosmosチームのメンバー全員にそのサポートと協力に感謝したい。」
(筆者が最近確認したところ、CosmosとはLive Searchの基調となっている分散型ストレージ層のことである。)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ