「世界初」が世界進出への個の力を結集させる--エニグモ須田共同CEOに聞く - (page 2)

高瀬徹朗

2008-03-27 13:42

信頼感と善意にあふれるコミュニティの条件

――第2のサービス「プレスブログ」とは。

 BuyMaは優れたサービスという自信がありましたが、ビジネスとして成立させるためには多くの参加者を集めて市場を活性化させる必要があり、収益化に時間がかかると考えていました。そこで、短期的に利益を生むビジネスとして生み出されたのが「プレスブログ」です。

 いわば「ブログのメディア的利用」で、数あるブロガーに情報を投げ、記事化してもらうことで対価を支払うシステムです。即席の「口コミライター」を用意し、その力を結集させることでマスメディア並みの新たな広告ツールを創り出すことが狙いでした。

 ブログによる口コミ効果はマスメディアとは異なる効果を持ちます。端的にいえば、マスメディアで100万人に伝える情報と、ブログ口コミで100万人に伝える情報とでは“中身の濃さ”が違うのです。

 実際の運営にあたっては、記事内容に一定の方向性は設けるものの、主観的であっても批判的であっても構わないというくらいの自由度を持たせました。これも多くのブロガーに参加していただけるようになった要因のひとつと考えています。

 2006年11月には、「プレスブログ韓国版」の展開も開始しました。これはフランチャイズ事業なのでエニグモに金銭的なリスクはありませんが、順調に収益に貢献してきています。

――「filmo」はその発展型ですね。

 インターネット上で動画ニーズが高まりを見せてきたのを受けて導入したのが「filmo」です。クライアントから依頼を受け、そのコマーシャルフィルム作成を一般クリエイターにまかせる。消費者ならではの視点で制作することで異なる訴求力を生み出してもらうことが狙いです。

 もちろん、動画ともなれば「誰でも簡単に」とはいきません。プロによって作品は審査され、優秀作にのみ対価が支払われる仕組みとなっています。厳しい審査を乗り越えた作品はマスメディアに登場するCMと較べても遜色なく、実際、電波への「逆輸入」が実現したケースもありました。

――新たにスタートした「シェアモ」とは。

 読み終わった本や捨て切れない洋服を「みんなで使いあおう」とシェアするサービスです。登録すると、欲しい人が引き取り、使用後にまた他の人に譲り、とシェアの輪が広がっていきます。このとき、発生するのは送料だけ。もちろん、気に入った商品があれば引き取ることもできます。とにかく「邪魔だけど捨てるのがもったいない」という商品をみなで使い合おう、という日本人の善意に期待したサービスですね。

――最後に、エニグモの今後について。

 個人の良さを引き出し、マスに匹敵するパワーを形成すること。これはエニグモが展開する全サービスに共通するキーワードです。個人のよさを引き出すためには、それぞれをつなぐ信頼性が必要不可欠。それを確保すべく、エニグモはサービス形態やオペレーションを通じて正しいルール、マナーを持った個人によるコミュニティ形成に努めてきました。

 そして、エニグモの試みはすべて「世界初」。この目標に向かうモチベーションが、企業として個の力を結集させるための求心力となっています。その先に見据えているのはずばり、「世界進出」です。BuyMa、プレスブログ、filmo、シェアモのいずれも、当初から世界展開を視野に入れて構築したサービス。もちろん、海外と日本ではビジネスモデルが異なりますが、まずは国内サービスでノウハウをため、新たな一歩に向けた準備を進めています。

 世界中の人が「シェアモ」でモノを使いあえる。そんな信頼感と善意のあふれるコミュニティを一日も早く形成したいですね。

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