ところで、テレビ会議の導入拠点数については、洋の東西を問わず3〜5ヵ所の少数拠点が平均値と言われている。しかし数百拠点の大型導入も日本国内でも散見される。最近は、HD端末だけで数十拠点近くの導入も聞かれるようになった。内蔵MCUは、その少数拠点ニーズを満たすものとして提供されており、それ以上の拠点になると別途MCUが必要になる。
実機確認とともにネットワークを考慮
一方導入時のネットワークについては、イントラネットの他、IP-VPN、広域LANなどを使用することもある。しかしファイアウォールやコストの関係で、ADSLやFTTHをインターネットVPNと組み合わせてテレビ会議専用に設置しているケースも結構ある。もっともテレビ会議システム自体に暗号化機能もあるため、インターネットVPNを使わずにその暗号化機能のみで公衆インターネット経由で通信しているケースもある。
その他ではイントラネットと公衆インターネットをまたいだテレビ会議になれば、テレビ会議による通信がファイアウォールを通過するための仕組みであるファイアウォールトラバーサルが必要になる。あるいはどのようなネットワークをテレビ会議と相互接続するかによって今度はゲートウェイやゲートキーパーが必要になる。またテレビ会議の中継が必要であればストリーミングも組み合わせることがある。そしてそれらの規模が大きくなれば運用管理システムが必要になってくる。
テレビ会議システムを導入する際には、端末としての使用環境や用途、そしてその規模並びにどういったネットワーク環境で使用するのか、といった点を考慮する必要がある。加えて段階に分けて導入する方法もある。
テレビ会議システムは、一昔前のネガティブなイメージを払拭するレベルまで製品が成熟してきたと言える。そしてネットワークも比較的低コストで良質の回線が使用できる環境が整ってきた。しかし、映像と音声のシステムのため導入検討時には、必ず実機を確認するとともに、ネットワークも対にして考える必要がある。