ヤフーがマイクロソフトの最後通牒にやり返す:反トラスト問題にも言及

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:菊地千枝子 2008年04月08日 07時50分

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 さほど時間はかからなかった。Microsoftの最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏が買収に関する3週間の最後通牒をYahooの取締役会に対して送った2日後、Yahooは自らの書簡でこれに答えた。

 YahooのCEOであるJerry Yang氏と会長のRoy Bostock氏により署名されたこの書簡は、YahooはMicrosoftが提示した440億ドルが低すぎると感じていることを繰り返し述べていた。両者は最近開示した3年間の財務計画は株式やその他に対しYahooが成長にむけて好位置につけていることを示したと主張している――しかしこの見解には賛同しない米金融業界のアナリストや業界観測筋も多い。

 「それがわが株主にとって最善であるなら、Microsoftとの取引に反対しているわけではないことを、明らかにし続けてきた」とYang氏とBostock氏は述べている。

 (Microsoftによる米国時間1月31日の提案が公にされて以来のYahooの態度が「非敵対的」と考えられるのだとすれば、Yang氏が何かを本当に堅く決意したら何をするかが恐ろしいようだ。どれほどYang氏ほか多くのYahoo関係者がMicrosoftを嫌っているかということと、Microsoftの支配力を回避するためにはほとんど何でもする覚悟だということは誰もが知っている。)

 しかし今回のYahooの書簡のなかで最も興味深いと思ったのは、買収が実現した場合に生じるかもしれない反トラスト関係の問題に言及した部分である――MicrosoftもYahooもこれについてあまり公に触れたことがない。書簡によると:

 「反トラストに関しては、わが社の懸念事項を御社と話し合いました。わが社との取引はどのようなものであれ、複数の管轄での徹底的な規制的レビューを導くでしょう。この話題について最近の両社の法律顧問間の会合に補足して、また御社の要請に基づいて、わが社は3月28日に本取引に関連した規制的問題に対する理解を深めるために必要となる追加的情報のリストを提供しました。今のところ御社はまだ要請された情報をいっさい提供していません。」

 このリストに何が含まれていたのだろうか…。読者は何だと思うか?

 なお、以下がYang氏とBostcok氏からBallmer氏宛てに送られた書簡の全文である:

Steve様:

 わが取締役会は、2008年1月31日に御社がYahoo!を獲得するための提案に関する御社からの最近の書簡を検討いたしました。

 取締役会は慎重に御社の提案を検討しましたが、全会一致でそれがYahoo!とわれわれの株主にとって最善ではないとの結論を下し、2008年2月11日に公式に同提案を退けました。取締役会はYahoo!の世界的ブランド、大規模な世界的利用者、最近の広告プラットフォームへの重大な投資および将来の成長の展望、フリーキャッシュフローと利益の見込み、そしてまた重要な非連結の投資を同決定の要因として言及しました。

 それと同時に、それがわが株主に最善であれば、Microsoftとの取引に反対するものではないことも、引き続き明らかにしました。わが社の立場は単に、どのような取引であれ、それがYahoo!の価値を全面的に反映したものであり、これにはMicrosoftに対する全ての戦略的便益も含まれ、また株主に確実性を提供するような条件で行われるべきだというものです。

 御社の提案に対する取締役会の見解を表明して以来、わが社は3年間の財務および戦略的計画を株主に提示しました。これは御社の提案がYahoo!を大幅に過小評価しているという取締役会の判断を支持するものです。株主との複数にわたる会合では、株主の意見を聞く機会も与えられました。

 わが社は引き続き新製品を提供し、公に唱えてきた戦略を実施するにあたり、わが社の規模、技術、人員、そしてプラットフォームを活用できるような行動を採ってきました。実際に本日、Yahoo!からAMP!を発表します。これはオンライン上で広告を売買するプロセスを劇的に簡易化するために設計された新たな広告管理プラットフォームです。

 最後に、取締役会は積極的かつ迅速に、株主価値を最大化するための戦略的代替策を模索してきました。このプロセスは今でも続行しています。こうした活動の全てが、株主価値を最大化することに対するわが社の包括的なコミットメントにより推し進められてきました。

 御社の提案に対する取締役会の見解は変わっていません。われわれは引き続き、御社の提案はYahoo!およびわが株主にとって最善ではないと考えています。御社からの書簡の内容に反し、発行済み株式を有するかなり多くの株主が、御社の提案がYahoo!を大幅に過小評価していると示しています。さらに、御社自身の株価が低下した結果、御社が提案する価値は今日では、最初に提示された内容を大幅に下回ることになっています。

 わが社の事業の全体的な経済的状況に及ぼす効果について御社が主張している内容に反し、Yahoo!の事業予測はわが社の前回の業績発表で概説した内容と一致しています。ご存知の通り、わが社は最近、第1四半期および通年のガイダンスを再確認しました。これは現在の経済環境にもかかわらず、わが社は予測と一致した実績を示すことができる可能性を証明するものです。さらに、公開した3年間の財務および戦略的計画は、これまで金融市場に伝えられていなかった大幅な上昇傾向の可能性を示すものです。この計画については株主から好意的なフィードバックを得ており、Yahoo!が単独会社として御社がオファーで示した価値をはるかに上回るという見解を強化するものであり、Microsoftにとってはなおさら貴重となるかもしれません。御社自身の発言が、MicrosoftにとってのYahoo!の強固な資産および能力の戦略的重要性を明らかにしています。

 御社の書簡が、御社とわが社との間の話し合いの性質を誤って特徴づけていることを遺憾に思います。わが社はさまざまな話題について御社と建設的な会話をもってきました。これには統合や規制的問題も含まれます。わが社が合意を取り交わすための交渉に入ることを拒否したという御社のコメントは、わが社がすでに、その当時額面価格1株あたり31ドルであった御社からの最初の提案を、Yahoo!を大幅に過小評価していることを理由に退けたこと、また御社の書簡やメディアにおいて、提示する価格の引き下げを検討していることが示唆されていることも踏まえると、とりわけ不思議に思えます。それにSteve、あなたは個人的にこれらの会合のうち2つに出席しています。あなたに都合のよいやり方で、話し合いを進めることができたはずです。

 反トラストに関しては、わが社の懸念事項を御社と話し合いました。わが社との取引がどのようなものであれ、複数の管轄での徹底的な規制的レビューを導くでしょう。この話題について最近の両社の法律顧問間の会合に補足して、また御社の要請に基づいて、わが社は3月28日に本取引に関連した規制的問題に対する理解を深めるために必要となる追加的情報のリストを提供しました。今のところ御社はまだ要請された情報をいっさい提供していません。

 御社が一方的なオファーをして、わが独立取締役会メンバーを追放するために委任状争奪線を始めようとする脅威は、非生産的であり、御社がいう友好的取引の目的と矛盾していると考えています。わが株主が、独立取締役会が客観的かつ知性的にわが社の代替案を評価し、価値を最大化するために最善の位置についていると理解していると確信しています。

 結論として、混乱のないように、いまいちどわが社の立場を述べさせて頂きたいと思います。わが社は株主の価値を最大化するための全ての代替案に対してオープンなのです。はっきり言えば、これにはMicrosoftとの取引も含まれています。それが単独ベースおよびMicrosoftにとって、Yahoo!の価値が全面的に認識されているようなものであり、他の代替案より優れたものであり、価値の安定と締結の確実性をもたらすものであれば、です。最後に、わが社は株主の価値を最大化するための経路を選択することに断固としてコミットしており、御社あるいは誰であれ、その全面的な価値を下回るような価値でわが社を取得するようなことは認めないつもりです。

敬具

Roy Bostock

取締役会会長

Jerry Yang

最高経営責任者

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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