「両社は同じ分野で異なる方法によって事業を展開しているが、互いのモデルはますます近づいている。まさにクラウドの融合が始まっている」とSchmidt氏は述べた。Googleはアプリケーションへの投資を反映させてスローガンまで「検索と広告」から「検索と広告とアプリケーション(Search, Ads & Apps)」に変えた。
そこで問題なのは、大企業は融合したクラウドに関心を抱くのかという点だ。Salesforce.comは自社製品を使用して、会社全体でSalesforce for Google Appsを使用する方向に進んでいる。これはMicrosoftの「Word」「Excel」「Outlook」および関連製品に代わる、実用的かつきわめて低コストのアプリケーション群である。Salesforce.comはMicrosoft Officeとの統合も提供しているが、Gtalkに該当する製品はない。
オフライン機能を必要としている顧客には、Salesforce.comがサポートを提供する。Google Enterprise部門のゼネラルマネージャーであるDave Girouard氏は、Googleは「Google Gears」によって、すべてのアプリケーションをオフラインで利用可能にするべく本格的に取り組んでいると述べた(「Google Docs」は現在オフライン機能をサポートしている)。一方、Benioff氏は「インターネット接続の安定性が高まるにつれてオフライン機能はそれほど重要な問題ではなくなる」と言う。
Girouard氏によると、1ユーザーあたり年間50ドルのGoogle Appsは、Microsoft Office製品を多数取りそろえたスイート(何らかの管理サポートも含まれる)に比べて10倍経済的だという。Nucleus ResearchのRebecca Wettemann氏は筆者に、Salesforce.comプラットフォームにおけるGoogleとMicrosoftのソリューションの差は規模のけたが2つ3つ違うが、Salesforce.comとの提携によってGoogleは販売ルートを得られると語った。Wettemann氏はまた、企業は段階的なアプローチを採用するべきだとも指摘した。つまりExcelを必要とするユーザーもいれば、Google Appsのスプレッドシートで十分間に合うというユーザーもいるかもしれないということだ。
Salesforce.comとGoogleが手を組んだことによってMicrosoftは遅かれ早かれ手の内を明かさざるを得なくなるはずだ。Microsoftは24日にサンフランシスコで「Live Mesh」サービスの詳細を発表する予定だ。伝えられるところによると、Live Meshはさまざまなデバイス間でデータを同期させるサービスだという。しかしMicrosoftがLive Meshを投入しても、ほぼ無償で利用できるクラウドベースのコラボレーティブアプリケーションスイートに対する要求の声が静まることはないだろうし、Salesforce for Google Appsはある程度の支持を集めるだろう。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ