IDCの「Worldwide Quarterly PC Tracker」によると米国のPC市場は世界市場に対する影響力を失いつつある。
以前に米国市場の成長率は7%と予測されていたが、実際の出荷台数の成長率は3.5%であり、IDCが予測した数字の半分だった。
IDCのPCアナリストであるDoug Bell氏は「主要な問題は米国の経済状況だ。米国は景気後退の不安の影響を実際に受けた唯一の地域である」と述べる。企業はIT予算の配分に慎重になっているとBell氏は指摘する。ITハードウェアに対する支出は、2008年の後半または2009年初頭に延期されるか、少なくとも予算額が引き締められている。Microsoftは第2四半期についに「Windows Vista Service Pack 1」をリリースしたが、予測されたほどの影響力を持たなかった。しかし、第3四半期には企業に対してアップグレードの意欲を持たせ始めることができるかもしれない。
しかし、世界の市場では状況が異なる。PCの出荷量は2008年の第1四半期には実際に予測を上回って14.6%を記録し、出荷台数は約7000万台に達した。この伸び率は予測を2パーセントポイント上回っている。
EMEA(欧州、中東、アフリカ)地域の成長率が米国の鈍化を補っている。米国と同様に、これらの地域の消費者は低価格のノートPCを選ぶ傾向が出てきており、特に多くの消費者が始めてPCを購入するという新興市場ではその傾向が顕著である。
消費者にとって朗報なのは、華碩電腦(アスーステック)製「Eee PC」やEverex製「CloudBook」のような新しい低価格PC市場の出現によって、PCの平均販売価格が下がり続けていることである。低価格PCの出荷量はまだごく少ないが、増加している。「すべての主要なベンダーが低価格PCに資源をつぎ込んでいるが、まだ市場に出回り始めている製品は少ない」とBell氏は述べる。「市場の規模が実際にどの程度なのかは、判断材料となる製品が1〜2機種しかないのでよくわからない」(Bell氏)