放送の視聴機革命が、通信融合の未来を変える--PTP有吉社長に聞く - (page 2)

高瀬徹朗

2008-04-24 16:32

各方面に配慮したビジネスモデル

――テレビ放送とは共存という考え方。

 共存というより、もとより対立する軸のないサービスと考えています。ユーザー視点で考えれば「接触機会の増大」ということになるわけですから。ただし、インターネットを活用したサービスということもあり、テレビ局に誤解を与えることだけは避けるよう、慎重に進めた部分はあります。

 そうした活動のかいもあってか、現在では多くの放送局関係者からも正しい理解を得ることができました。放送映像をすべて蓄積するという機能を考えれば放送事業者は大切なユーザーともなりえます。実際、多くの放送局で高い評価をいただけるようになりました。

 もちろん、ルール上で放送事業の妨げになるような機能は用いていません。例えば、お気に入りの番組やCMを他のユーザーに勧める機能がありますが、これは「SPIDER」ユーザー同士でのみ有効であり、また動画そのものを流通させるものではありません。あくまでお勧め動画に関する情報を共有することで、個々のSPIDERから当該動画を呼び出すことができる機能。通信回線や社内LANによる動画のやりとりなどは敢えて行われないようにしています。

――現在は主にプロ用。将来は一般用になる?

 もともと「TiVo」を見て開発した製品ですから、当然、将来は幅広く一般家庭向けの商品にしたいと考えています。しかし、ステップとしていきなり一般向けの大量生産ビジネスは難しい。企業としても実績を積んで、厳しいプロの目でお墨付きをもらってから廉価版を出す、という段階を踏もうと考えていました。

 現在は放送関係者のほか、一般企業でも120社以上でご利用いただいています。広報や宣伝、マーケティングなどのプロフェッショナルな方々がお使いになられています。

 プロの方からのクチコミが広がり、いまの製品を自宅に「欲しい」と言ってくださる一般ユーザーも多いんです。価格面、サポート面は現状のままということを条件に販売していますが、こうした声を聞く限り、やはりいずれは一般向けへ、という気持ちが高まります。

 もうひとつ、現在はアナログ放送対応機であり、完全デジタル放送移行となる2011年に向けてデジタル放送対応を考えていかなければなりません。コピー制御などデジタル固有の条件もあり、制度的な動きも見守りながら早急な対応を進めています。

――最後に、今後の展望を。

 これまではハード・ソフト、サービスなどすべてに責任もって自前で対応していくことに優位性を持ってきましたが、一般向け販売を行う際には「餅は餅屋」と考えています。量産、流通などさまざまな面で大手メーカーの優位性が発揮されることは確実ですから。

 また、現在、検索などに関する各種メタデータ生成は外部に委託していますが、これも同様です。。顧客からのニーズはフードバックして共有しながら、専業の会社に任せることで、より詳細で優れた情報提供が可能となっているわけです。

 「新たなライフスタイルの提供」という当初からの目的を果たすために、1社ではできないことは企業連携をして柔軟に対応しながらSPIDERの強みを生かして前へ進んでいきたいと考えています。

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