Outlookのスケジューラが伏線
丸善がDynamics CRMを導入したのは2007年の4月。もちろん、他のCRMソリューションも検討したが、Dynamics CRMに決定したのは、それ以前に導入していたマイクロソフトの「Outlook」との連携だった。
「Dynamics導入のきっかけになったのはOutlookのスケジューラだ。当社はOutlookのスケジューラを相当使い込んでいる。社長のスケジュールも、部長以上はすべて見られるようになっており、更新もできる。私のスケジュールも全管理職が見ることができるのだ。Outlookのスケジューラは、マネジメントツールとしては非常に有効だ」
丸善の教育・学術事業本部は北海道から九州まで12支店を持つ。このように、多拠点分散の組織をマネジメントするためにはスケジューラが必要ということでOutlookを先行して導入したが、それがDynamics CRM導入の伏線となった。
同社では以前、営業担当者の管理ツールも導入されていたが、ほとんど使われていなかった。そこで、いきなりCRMを入れても無理だと考え、Outlookのスケジューラを徹底的に使うところから始めた。「今では、私は月曜日に出勤し全12支店の支店長のスケジュールを全部確認できるようになった」と土岐氏は言う。
そうなると当然、Outlookからさらに詳細な案件を追いかけたくなる。例えば、ある営業がある大学の人に週3回くらい会っているということがOutlookのスケジューラから判明する。そうなると、その案件の進捗が知りたくなる。
そこで、Outlook連携ができるCRMが必要になってきた。そんな時、タイミング良くOutlookからCRM連携ができるソリューションが発表された。それがマイクロソフトのDynamics CRMだった。タイミングがピッタリ合った。
「もちろん、初モノはだいたい失敗するということは知っていたし、不安もあった。しかし、一刻も早く使いたかった」
トップダウンで普及
導入にあたっては、日本ビジネスコンピューター(JBCC)をSIerとして選択した。JBCCのレポーティングツール「Web Report」も同時に導入している。土岐氏は「心中する覚悟で、短期導入を試みた」という。