土岐氏は、CRMの機能はツールによって一長一短あるにしろ、それほど変わらないと見ている。CRMそのものの機能より、フロントエンドを統一したい気持ちの方が強かったという。
「営業担当者のマネジメントで一番大切なのはスケジュール管理という意識があったので、それとの連携が完璧にできるというのが最大のポイントだった。基本的に、CRM単体ではそれほど効果が出ないと思っていた。そこで、CRMの単体導入ではなく、Outlookを使いこなしてCRMに結びつける形にした。それが良かったようだ」
Outlook連携があることによって、みんながきちんと使う。そして、使えば営業の可視化ができる。それによってCRM、SFAの目的が達成された。
すでに効果が出ている。
少子高齢化の影響で、教育・学術事業はダウントレンドにあったが、同社にとって199期目となる2007年2月から2008年1月までの1年間は、対前年対比で売上げが突然5%ほど拡大した。さらに、2008年2月からの200期目は、10%の拡大を見込むまでになった。
「Dynamics CRMで営業の活性化が実現したのが最大の理由だと見ている。CRMはツールであり、ツール自体が組織変革や企業変革を起こすわけではないが、変革の有効な手段にはなる。現場もOutlookのスケジューラについては大変便利になったと言っており、CRMは支店長や営業部長が部下を管理する意味で非常に有効だ。案件の総額がわかるようになり、未来予測ができるようになった。営業担当者としても、これで仕事がこなせるようになれば給与も上がるので、よい循環に入ってきた」
大学はいわば成熟産業であるが、少子高齢化で業態変換を図ろうとしている。そこにビジネスチャンスがあるというのが土岐氏の見方だ。Dynamics CRMはそのビジネスチャンスを生かすための有効なツールとなっている。