画像認識技術で新たな広告市場を切り開く――ジェイマジック宮田社長に聞く - (page 2)

佐野正弘

2008-05-08 08:00

――顔ちぇき!に関しては、どのような展開を考えていますか。

 現在もナショナルクライアントや、テレビをはじめとした既存メディアとの連携話を頂くことが多く、大きな広がりを見せています。我々をはじめ多くの人が、「顔ちぇき!は一度遊んだら終わり」となってしまうことを心配していましたが、結果的には、人間の顔という多くの人が理解しやすいテーマを扱っていたこと、そして仕組みがシンプルであるがゆえに広がりを持たせられたことで、コンテンツの価値を大きくすることができたようです。

 とはいえ現在のところ、テレビやPCインターネットの世界と比べ、モバイルの広告は種類も少なく金額も小さいので、広告依存のビジネスモデルでは規模を拡大する上で限界があると感じています。そこで2年目となる今年は、3月19日に開始したAll Aboutの記事が閲覧できる「顔ちぇき!コラム」のような、モバイルサイトとしての基本的な要素を増やしたり、他社の課金コンテンツと連携したりするなどして、ビジネスモデルの多様化を進めていくつもりです。auの公式となるなど、公式サイト化を推進してきたのも、そうした動きの1つといえるでしょう。

――他にも、今後大きな展開があるようでしたら教えて下さい。

 直近でいうと、電通テックと共同で開発した、画像認識プロモーションシステム「スグモ」の提供を開始しました。これは、ジェイマジックの持つ画像検索システムSAYLに、電通テックの強みであるキャンペーン運営ノウハウを組み合わせたもので、SAYLを画像検索だけでなく、モバイルプロモーションという、より大きな枠組みで利用するためのプラットフォームにしようという商品です。

 例えば、従来のテレビCMであれば「続きはウェブで」と流して、検索に誘導するというのが一般的でした。スグモを使えば、「ここ撮って!」とCM中の特定の画像を携帯電話のカメラで視聴者に撮影させて、そこからモバイルサイトに誘導できます。従来、マスメディアとモバイルを連携させるには、QRコードか検索くらいしか手段がありませんでしたが、スグモがそれらに続く第3の柱になっていくことを期待しています。

 海外展開にも力を入れていきます。現在は中国や台湾、韓国といったアジア圏の開拓に取り組んでいますが、地域によってはモバイル広告、もしくはモバイル市場自体がそれほど立ち上がっていないところもあります。そこで、ある国では携帯電話の有料課金コンテンツを提供する、また別の国では他社のPC向けサービスに技術提供をするなど、進出する地域に応じて提供するサービスや形態を変えながら展開しているところです。

 もっとも、ここ数カ月で、欧米においてモバイル広告の市場が急速な伸びを見せているようです。これまではアジア圏の方がモバイルサービスの普及が速いと考えていたのですが、本命である欧米のモバイル広告市場が立ち上がったことに非常に危機感を抱いており、早急に手を打たなければならないと感じています。

 さらに先の話をすると、画像だけでなく動画も手がけていきたいと考えています。動画も画像の連続なので、それらをシーンとして解析すれば、Adphotoのように広告に繋げていくことができるのではないかと思っています。まだこれからの分野ですが、ワンセグが既に存在し、インフラ面でも高速な第3.9世代携帯電話の商用化が近づきつつあるなど、モバイル動画の環境は整いつつあるので、ぜひ取り組んでいきたいですね。

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