日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は5月16日、SOHOや中小企業向けのビジネス用インクジェットプリンタを4機種発表した。同社 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括の挽野元氏は、「ビジネス向けインクジェットの潜在的な市場規模は100万台」と見ており、新製品の投入で「ビジネスにもインクジェット」という考えの定着をねらう。
挽野氏が「100万台」という潜在市場の背景には、オフィスで家庭用のインクジェットプリンタを利用するケースがあることや、オフィスが小規模にも関わらず中規模以上に適したレーザープリンタを使っている企業が存在するということがある。「オフィスで家庭用インクジェットを使っている場合、インク容量が少ない、給紙量が少ない、ランニングコストが高い、耐久性が低いといった不満がある。一方で、レーザープリンタの利用者は、プリンタの価格とランニングコストが高い、消耗品の高感が頻繁で複雑だという不満がある。こうしたニーズを満たせれば、ビジネス向けインクジェットの市場規模は大きい」(挽野氏)
今回発表されたプリンタ4機種は、A3対応プリンタ「HP Officejet Pro K8600dn」、A4対応複合機「HP Officejet Pro L7590 All-in-One」、同じくA4複合機で無線LANにも対応し、1万9950円という低価格を実現した「HP Officejet J6480 All-in-One」、A4対応モバイルプリンタ「HP Officejet H470」だ。
日本HP イメージング・プリンティング事業統括 ボリュームビジネス本部 本部長の竹田芳浩氏は、モバイルプリンタのH470について、「他社製品は黒インクとカラーインクの両方をカートリッジに入れなければ印刷できないが、これはどちらかがインク切れになっても印刷できるようになっている」と、HP製品ならではの特徴を説明した。また、A3対応プリンタK8600dnについても、「A3のプリンタで有線LANに標準対応し、自動両面に標準で対応しているプリンタはない」としている。
こうしたハードウェアでの優位性に加え、HPでは印刷のランニングコストを削減するソフトウェアも用意している。インク量を設定できるプリントドライバや、印刷枚数を削減するためのソフトウェア「HP Smart Web Printing」や米FinePrint Softwareの「FinePrint5」がそれだ。
Smart Web Printingは、ウェブサイトの必要な部分のみをレイアウトしてプリントできるソフトウェアで、FinePrint5はウェブサイトとメール、ワープロ文書など、フォーマットの違う文書をまとめてプリントできるソフトウェア。こうしたソフトや標準の両面印刷機能などにより、「インク代や用紙代を3年間で半減できる」と竹田氏は話す。
それぞれの製品価格と販売開始時期は以下の通りだ。
- HP Officejet Pro K8600dn: 3万9900円(税込) 5月16日
- HP Officejet Pro L7590 All-in-One: 3万4860円(税込) 6月上旬
- HP Officejet J6480 All-in-One: 1万9950円(税込) 5月下旬
- HP Officejet H470: 1万9950円(税込) 5月16日
HPではこれまで、ビジネス向けインクジェットプリンタをオンラインの「HP Directplus」でのみ販売していたが、新製品の発表にあわせ、ヨドバシカメラやビックカメラなどの量販店での販売と、代理店を通じた販売も開始する。こうした販売網の拡充により、同社では現在約20%とされている国内ビジネスインクジェットのシェアを3年で倍増させたい考えだ。