会議システムを初めて導入した時に感じる難しさや使いこなせるだろうかという不安は、誰にでも、どんな企業にでもある。しかしそれは、たとえば、新しい仕事に慣れようとする時に感じる、難しさや不安と全く同じである。でも、私たちは、新しい仕事に前向きに意識して取り組み、その仕事に慣れていく。そうすると、それを日々行うことが自分にとって当たり前の習慣となる。会議システムに慣れることと、新しい仕事に慣れることの基本はお互い通底しているのだ。ここは本当に大事な点であり、見落とすことができないポイントと言える。
トップの意志と体制作り
しかし、個人ではなく組織という観点から、会議システムをゼロから始めるとなると、その意識化のきっかけを作るのは、まずトップである。会議システムが浸透している企業では、トップダウンがうまく影響しているとよく聞く。しかし、「使え、使うぞ!」という掛け声だけでは駄目で、トップの意志と使うための体制作りがとても重要になる。体制作りは、組織全体に「会議システムを使う」という意識付けを行うとともに、それを維持することが目的となる。
体制作りにおいては、社内規則の見直しや評価制度の設置などを行った企業もある。社内規則においては、たとえば、出張規程で出張を原則禁止にして、会議システムを利用することにしているというところもあると聞く。
制度以外にも人が動く仕組みも必要だ。全社の利用を取りまとめる担当者と利用促進担当者を各部署に配置し、トップ直属のチームとなって社内の利用促進の活動を展開する。たとえば、導入時のトレーニングから利用マニュアル、サポート窓口の設置、利用状況の把握などを行っている企業もある。利用マニュアルについて言えば、社員で作成した電話会議用のマニュアルを社外にメディアを通して公表・配布したこともある日本のある外資系企業も存在する(ここまでくると“殿堂入り”パワーユーザーと言える)。
実はこうした取り組みを日々積み重ねていくことで、会議システムに対する意識が高まるとともに、それが組織全体に広がることにつながる。彼らは会議システムに対して日々意識してきたから、そこから自分たちの工夫が生まれ、そしてそれが本当に実感できる効果につながるというプラスのサイクルを生み出している。
当たり前のようで一見手間がかかるようだが、これこそが効果への最短距離なのだ。