「End to End Trust」は、「Trustworthy Computingのコンセプトをネットに適用したもの」(同)であり、「SDLで長年投資を続け、学んできた知識をほかのコミュニティ全体で使ってもらう」ことを念頭に置いたビジョンだという。
このビジョンの柱の1つが、デバイスとネットが接続される時にデバイスの認証を行い、OSやアプリケーション、ドライバ、データ、そしてそれを使う人を証明するというものだ。「これが成功するためにはハードウェアやソフトウェアのベンダー、セキュリティコミュニティ全体が協力することが必要だ」とStathakopoulos氏は語っている。
Microsoftだけで取り組んでも「成功しない」
また、Microsoftはネットユーザー同士が互いを認証するための仕組みも重要だと認識しており、「プライバシーや匿名性の問題があるが、重要なのはどのようなプライバシーの情報のセットを出すかだ」とStathakopoulos氏は指摘し、提供する情報を自分で選択することで匿名性を保つこともできると語っている。
こうした取り組みは「Microsoftでは一部分しか行えない」(同)。多くのベンダーやサービスプロバイダー、政府などにも「果たすべき役割」(同)があり、コミュニティ全体として作り上げていくものだという。
End To End Trustは、今年4月のRSA Conference 2008で公表された。公開後、続々とフィードバックを得ており、今後さらに改善していきたい考えだ。「重要なのはオープンな対話だということ」とStathakopoulos氏は強調。Microsoftが主導し、Microsoftの技術を使っていくのではなく、「まず話し合いをして方向性を示すのが重要だ。議論をして、どうあるべきかを見極めるべきで、(Microsoftの)テクノロジーありきでやっていくのではない」(同)と、同社のスタンスを明らかにしている。