電機大手11社の2007年度決算を読む--パイオニア・ビクター・三洋 - (page 3)

大河原克行

2008-05-30 08:00

構造改革から成長戦略に転換する三洋電機

 三洋電機の2007年度連結決算は、売上高が前年比7.2%増の2兆178億円、営業利益は78.7%増の761億円となった。また、継続事業税引前利益は前年の赤字から733億円改善して黒字転換し572億円。当期純利益も741億円改善し287億円となり増収増益。最終黒字は4年ぶりとなった。

 同社では2007年度までの中期経営計画により構造改革に取り組んできたが、「2007年度は、すべての利益計画において公表値を上回った。過去3カ年に渡り、収益、財務面ともに着実に回復し、一定の成果が出せたと考えている。具体的には、安定的に500億円以上の営業利益を出せる収益基盤を確立でき、また、有利子負債を大幅に削減したことで財務体質を強化できた。さらに、ゴーイングコンサーン注記を解除したという成果があがった」と同社 代表取締役社長 佐野精一郎氏は語っている。

 部門別では、コンシューマ部門の売上高が前年比11.8%増の7566億円。デジタルカメラがOEM先との協業強化、市場全体の成長に対応した海外生産体制の強化などにより、年間1500万台の出荷を達成したことで収入、収益に貢献した。また、北米市場における液晶テレビ事業の拡大に加え、カーナビゲーションシステムやプロジェクターも好調だったという。

 コマーシャル部門の売上高は前年比3.0%減の2625億円。コンポーネント部門の売上高は8.9%増の9532億円となった。

 コンポーネント部門では、二次電池のリチウムイオン電池、ニッケル水素、ニカド電池のいずれも売り上げが伸張した。なかでもリチウムイオン電池は生産能力の増強に加え、情報通信機器用途や電動工具をはじめとする動力用途などの新市場開拓によって高い成長率となった。

 2008年度の業績については、売上高は0.1%増の2兆200億円、営業利益は34.3%減の500億円、税引前利益は73.8%減の150億円、当期純利益は22.0%増の350億円との見通しを示している。

 佐野氏は、「2008年度は新中期経営計画の初年度となる。将来の二次電池や太陽電池などの旺盛な需要に備えて、戦略的な投資を前倒しするため、設備投資拡大に伴う減価償却費や固定費の増加が影響して減益となる。これは一時的な減益である」と語り、2010年度を最終年度とする新中期経営計画では「成長路線を打ち出し、高収益基盤の確立を目指す」と述べた。

 新中期経営計画では、2010年度の売上高目標を2兆3800億円、営業利益の必達目標として900億円、チャレンジ目標として1000億円を掲げる。さらに設備投資計画では、過去3カ年に比べて約1300億円増額となる3600億円(3か年)を予定する。成長戦略を打ち出した同社の行方が注目される。

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