- 自分の意見と自分自身を切り離す
- プロ意識を保つ
- 話を聞く
- 「ストローマン」を避ける
- 意見の不一致を認める
Gerald Weinberg氏は、同氏の古典的な著作である「The Psychology of Computer Programming」で、「エゴのないプログラミング」という概念を説明している。この概念では、プログラムの作成者自身を含むプログラマーのチームが、そのプログラムをレビューしてエラーがないかどうか確認する。プログラマーがコードに対して防衛的でないほど、このレビューのプロセスはより生産的なものになる。つまり、プログラマーが自分をプログラムから切り離して考え、エラーを個人攻撃だと思わなければ、このプロセスはうまくいくということだ。
これは、俳優が自分が演じている役についてインタビューされる時は、一般に自分の役柄について第三者として話をするのと同じことだ。例えばMel Gibson氏は、自分が演じた「パトリオット」のBenjamin Martinについて話す際には、(以下ネタばれ注意)おそらく「Gabrielの死は私にとって大きなショックだった」ではなく、「Gabrielの死はBenjaminにとって大きなショックだった」と言うだろう。同様に、「私は過去から逃避しようとしている男だ」ではなく、「Benjamin Martinは過去から逃避しようとしている男だ」という言い方をするだろう。
不一致に対するこのような見方を身につけるようにすべきだ。もし自分の意見に個人的に熱を入れすぎると、その意見を客観的に扱うのが難しくなる。客観性を失うと、不必要に意見の不一致を長引かせてしまうことがある。自分の意見を「自分の」意見ではなく、単なる1つの意見だと考えるようにするといい。同じように、もしあなたが他人の意見に懸念を示そうとしている時にこの問題が生じていれば、異論があるのは意見に対してであって、相手自身に対してではないことをはっきりさせるとよいだろう。
「不快にさせずに反対する」や「ハエを捕まえるには酢より蜂蜜」などという表現を聞いたことがあるだろう。なぜハエなどを捕まえようとするのかは分からないが、それはまた別の話だ。とにかく、相手を尊重することは(たとえ自分と意見が合わない相手でも)、相手からも尊重される道であり、あなたの意見にも信頼性を与える。
乱暴な同意の3日間の遅れに関する例は、Bが注意して聞いていれば避けることができたはずだ。可能であれば、相手が話し終えるまできちんと話を聞くことだ。例えば相手が長話になってしまっていたりして、割り込まなくてはいけないような場合は、まず相手の話していたことを要約することから始めるといい。人は、予想と違う物言いをすることがある。もしうまく聞いて理解することができなければ、誤解に基づいて、相手の本当の意見とは食い違った形で返事をしてしまうかも知れない。
これは前項からの続きだ。誰も持っていない意見に対して反対するのは簡単だ。相手が実際には持っていない意見を攻撃することを、ストローマン(straw man argument)と呼ぶ。なぜなら、わら人形のように倒しやすいからだ。
相手の意見を注意して聞くのに失敗すると、相手の本当の意見ではなく、別の意見に反応して時間を無駄にしてしまう場合がある。誤ってストローマンをやってしまうのもよくないことだが、意図的にやるのは倫理的に問題がある。同様に、他の人が自分の意見を本当に理解していることを確認する必要がある。
時にはどれだけ議論をしても、ある論点で合意できないことがある。その一点の意見の不一致で、それ以上の議論が不可能になることもある。しかし、話題を変えることができることもあるだろう。その場合、争点について「意見の不一致を認め」て、他の話題に移るのがいいだろう。後からその論点を振り返って、解決できるかも知れない。1つの論点にこだわらず、議論を前に進めるよう努力すべきだ。