データセンターがキャパシティの限界に達したり、限界に近づいている場合には、クラウドコンピューティングがアプリケーションを実行する代わりの場所を提供してくれる。
最も単純な用途として、基本的なマシンパワーとシステムソフトウェアを提供するだけの業者は一般的になった。高度なレベルでは、アプリケーション開発をしやすくする豊富な機能を備えたプラットフォームを提供する業者もある。
好むと好まざるとにかかわらず、これらに代表されるさまざまな取り組みはすべて、自身をクラウドコンピューティングに分類しようとしている。「クラウドコンピューティング」は、例えばWeb 2.0とは違って、何かの意味をほのめかすずっと市場性の高い用語なのだ。
IT部門の買い手は、見込みのあるプロバイダを個々に特定して、何が提供されているかを正確に見極める必要がある。有名企業が魅力的に思えるサービスを用意したと主張していても、詳しく調べるとまだ試験段階だと判明する場合もあるだろう。
反対に、ほとんど知られていないベンダーからすばらしい製品のことを聞いても、企業が倒産して、利用しているアプリケーションとデータが道連れになる可能性について心配することになる可能性もある。
これは、「移動性」についての懸念につながる。「障害が発生した場合、どうすればアプリケーションとデータをすばやく移動できるか」という重要な疑問だ。PaaS(Platform-as-a-Service:サービスとしてのプラットフォーム)の手法は魅力的に思えるかもしれないが、IaaS(Infrastructure-as-a-Service:インフラとしてのプラットフォーム)という選択肢を選べばよかったとか、単純に評判のよいベンダーとSaaSの契約を結べばよかったと思う可能性もある。
幸い、クラウドコンピューティングは初期段階にあり、市場の展開を見守る時間がある。現時点では、完全に成熟したクラウドサービスを提供する準備が本当に整っている組織はほとんどない。しかし、これらのベンダーは皆、このサービスにとても真剣に取り組んでいる。
AmazonとSalesforce.comは、クラウドコンピューティング時代を代表する存在だ。EMC、Google、HP、IBM、Microsoft、Sun Microsystems、Yahoo!などの多くの企業にも、高度なクラウドコンピューティングの構想がある。