クラウドコンピューティング--希望の光か、それともただのマーケティング用語なのか - (page 3)

文:David Tebbutt(Freeform Dynamics) 翻訳校正:アークコミュニケーションズ、坂野裕史

2008-06-27 08:00

 IBMを含むいくつかの企業は、社内用のクラウドコンピューティングさえ行っている。組織の各部門が、全社的なITに影響を与えずに最新のアイデアの試作品を導入するために利用できる場所だ。

 これは「そこにある何か」が起源となったクラウド(cloud:雲)の意味を変えるものだが、ユーザーや全社的なIT担当者にとって、まさにクラウドコンピューティングが存在する場所なのだ。

 クラウドコンピューティングの種類について明確な分類を示すことはこの記事の目的ではないが、SaaS、PaaS、IaaSが代表的なものだろう。これらはそれぞれ、ソフトウェア、プラットフォーム、インフラストラクチャに対応する。基本となる検討課題は、機能、利点、コスト、信頼に関連したものだ。

 そして、信頼について検討する際には、関係するネットワークを必ず考慮に入れる必要がある。課題の1つは遅延時間で、もう1つの課題は信頼性だ。ユーザーがアプリケーションから応答を得る時間と、アーキテクチャを構成するコンポーネントが相互に通信する速さについて、必要な時間と速度を検討する。

 必要な時間が短い、あるいは速度が高いほど、クラウドコンピューティングを望む確率は低くなる。希望的観測によれば、接続のパイプが太くなるにつれて、ネットワークは問題になりにくくなる。

 しかし、大切なデータとアプリケーションが誰にもわからないところに広がるときには、スタッフが必要なサービスに到達できることだけでなく、利用するクラウドシステムを構成する要素間の相互接続にも回復力が備わっていることを確かめる必要がある。

 SLAを結ぶのはたいへん結構なことだが、その場合でも、プロバイダには難しい質問をする必要がある。例えば、「当社のために格納してもらうデータに現在と将来の社内アプリケーションがアクセスできるようにするため、どのようなAPIが提供されているか」などが、注意を要する場合がある質問の1つだ。

 答えに満足したと仮定すると、クラウドコンピューティングによって、IT部門からストレスの多い要素が多数取り除かれて、より戦略的な課題に集中できるようになると見込まれる。

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