レコメンド技術を「絵に描いたモチ」で終わらせないために--ECサイトのレコメンド技術を考える(5) - (page 2)

高島理貴(ケイビーエムジェイ)

2008-07-02 08:00

 購入ベースのレコメンドであれば、実際にセットで購入されている行動履歴からルール化されるため、冬のコートとセットで購入したいブーツやニット、スカートなどがレコメンドされる。また、閲覧ベースのレコメンドでは、コートに興味がある人が、他に気になったコートを閲覧するという行動履歴からルール化されるため、さまざまなデザインのコートがレコメンドされる。

 つまり、「コート」を探している人には「コートに合わせてこちらの冬物もいかがですか」と薦めることができ、「冬物」を探している人がたまたまコートを閲覧した場合には、「他にもこんなデザインのコートがありますよ」と薦めることができる。これは幅広いニーズに対応したレコメンドの良い例である。このように、ユーザーのニーズに合った商品を実店舗で接客するように提案できるロジックと表示ページの選定が重要となる。

「オススメ商品」をどうやってオススメするか

 次に考慮する点は、レコメンドティッカーに盛り込む情報の選定だ。レコメンドティッカーとは、レコメンドする商品の内容が表示されるスペースのことだ。

 レコメンドティッカーでは、「この製品を買った人はこんな製品も買っています」というティッカーの説明や、「オススメ商品!」といったタイトル、そしてそこに盛り込む商品数を決める。各商品には、商品名や商品画像、説明文、価格、テキストリンクなどがついているため、限られた範囲内でティッカーの表示内容を選択しなくてはならない。

 例えば、商品詳細ページの半分程のスペースを用意し、関連ベースと購入ベースでレコメンドアイテムを表示するサイトもあれば、これに「最近チェックした商品」という閲覧履歴のロジックも加え、合計3カ所にティッカーを配置するサイトもある。さらに、各ティッカーのタイトル、説明、5商品分の商品画像、カテゴリ、商品名、価格を大きく表示するケースもある。

 一方で、関連ベースのレコメンドティッカーに、タイトルと5つの商品名のテキストリンクのみを表示するサイトもある。しかし、レコメンド機能の効果を十分に発揮するには、できるだけ商品画像はあった方が良い。レコメンド機能の利点が「ナビゲーション効果」と「セレンディピティ」(思いがけない発見)にあることはすでに連載の2回目で述べた通りだが、商品画像は直観的に認知できるため、この2つの利点が最大限に生かされる。

「オススメ商品」をどこに置く?

 最後に、レコメンドティッカーをどこに表示すべきかを考えてみよう。基本的にレコメンドティッカーは、商品詳細ページやカートページ、購入完了ページの下部に表示するのが一般的だ。しかし既存サイトに導入するとなると、デザインや構成がそれぞれ異なるため、表示スペースが簡単に確保できるわけではない。できるだけファーストビューで目に入る上位に表示し、見やすい形式で配置することが好ましいが、他にも見せたいコンテンツはあるだろうし、メインページをおろそかにすることもできない。これらを踏まえた上で効果的な表示スペースを確保することも重要なポイントとなる。

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