Benioff氏によれば、今後、情報システムの潮流としてアプリケーションはSaaSという選択肢が主流となり、情報システムの基盤はPaaSというクラウドコンピューティングになっていくとしている。
「情報システムは、20世紀中頃までメインフレームを基盤にしていた。それが20世紀終盤にはクライアント・サーバ(C/S)からアプリケーションサーバへと変わっていった。そして21世紀のプラットフォームが、PaaSを中心にしたクラウドコンピューティングになっていく」(Benioff氏)
Benioff氏は、こうした流れがあるという認識に立った上で、ソフトウェア開発者には「ソフトウェアかクラウドか、という決断が迫っている」と説明する。
同氏は、従来のソフトウェア開発がコストの高いものでいて、複雑なものであり、それでいてリスクを伴うものであるとしている。クラウドコンピューティングは、そうした従来のソフトウェア開発とは反対に、「無限のコンピューティングパワーにアクセスでき、ユーティリティサービスにプラグインでき、あらゆるアイデアの基盤を利用できる」というメリットがあることを語っている。
「Web 3.0のクラウドコンピューティングの世界では、インターネットという基盤を活用してアプリケーションを実行できる」という同氏は、そのメリットとして、サブスクリプションモデルによって利用状況に応じて支払うという低コストの開発が可能であり、インフラストラクチャのことを気にすることなくシステムを開発できるというシンプルさ、簡単・迅速にアプリケーションを構築できる点、グローバルな開発環境を手に入れられるということを挙げている。
同氏は、“Web 3.0=クラウドコンピューティング”という流れとメリットを指摘した上で、同社が提供するウェブベースの開発基盤サービスであるforce.comは、独立ソフトウェアベンダーやエンタープライズ開発にとってクラウドコンピューティング環境であることを強調している。
「force.comは、salesforce.comがこれまでの10年間で培ってきたSaaSプラットフォームを利用できる。データセンターや障害復旧、カスタマイズ性、アプリケーション統合、データ共有、ワークフローの機能、、検索エンジン、レポーティング分析、マルチデバイス対応、多言語対応、多通貨対応などのsalesforce.comプラットフォームの力を開発環境として利用でき、これらのものをゼロから作る必要がない」(Benioff氏)
force.comを開発環境として利用することで開発者は、salesforce.comで培ってきたメリットを享受できるとともに、サービス開発に専念して、より革新を追い求めることができると同氏は説明している。