それでは、英文法の呪縛から開放されたところで、経営コンサルタントAさんとの会話を続けましょう。
Aさん: I used to be a computer software engineer. I started up a new business with my friend, and developed an online game software. Well, long long time ago.(笑)
「昔、ソフトウェア開発者だったんですよ。友人と会社を立ち上げて、オンラインゲームを開発してね。まぁ、遠い昔の話だけど(笑)」あなた: You were a computer professional!
(驚きの表情で)「コンピュータのプロだったんですね!」
さあ、ここで3文型にこだわって会話を発展させてみましょう!
あなた: I am a game maniac! I love Dragon Quest, Final Fantasy (FF), etc….
(笑いながら)「ゲームマニアなんですよ! ドラゴンクエストやファイナルファンタジー(FF)とかね」Aさん: Really!? I love them all. Do you play the latest FF? That's a masterpiece of game world.
「本当ですか!? 全部大ファンですよ! 最新のFFやりました? あれは傑作ですよね!」
と、ゲームの話へ突入……
もちろんいつも会話がはずむとは限りませんが、簡単な文章で言いたいことをタイミングよく伝えれば、会話がはずむきっかけを増やすことになります。ですから、連載第1回で言ったように、会話がはずむような人間としての幅を持つことの方が大事だと言った意味がわかっていただけましたかな。
とはいえ、単語だけ並べていても芸がありません。3文型だけはしっかりとイメージをおさえましょう!
3文型を制する者は英語を制す
3文型を理解するにあたり、まずは舞台を想像してください。
舞台には主役がいます。それは主人公という意味ではなく、今あなたが見ている対象です。会話をしている時には、常に舞台の主役が入れ替わります。そこには必ず人がいるわけではなく、モノがいることもあります。会話の中では、あなたの話したい相手が舞台の中心にいるのです。
3文型でも簡単だと思っている人には申し訳ないのですが、ここでは文型をさらに簡単にしたいと思います。というのも、舞台を表現するパターンはたった2つに集約されてしまうからです。
- 舞台上の主役の状況を表現する
- 舞台上の主役のアクション(動き)を表現する
つまり文型で言えば
- [舞台上の主役]+[状況] (=SVC)
- [舞台上の主役]+[アクション(動き)](=SV, SVO)
これだけです。あとは、それぞれの[ ]内に英単語をあてはめれば3文型がマスターできます。ここで難しく考えないで下さい。文型で言えば、SVとSVOは主役のアクション(動き)を表現し、SVCは主役の状況を説明していると理解してください。
今、舞台ではギタリストがソロコンサートを開いています。舞台の主役は、この男性だけではありません。ギターだって主役になれます。
- This guitar is a legendary guitar, called "Jimmy" (SVC)
「このギターは伝説のギター、"ジミー"と呼ばれている」
これは主役(ギター)の状況を説明する1のパターンです。ほかにも、モノを主役にしてアクション(動き)を示すこともできます。
- The jacket fits him so well (SVO)
「ジャケットは彼にピッタリ合っていた」
人を主役にしても色々なことが3文型で説明できます。
- He sang low with tears (SV)
「彼は低い声で歌った。涙を流しながら」
もしかしたら周りに人が居るかもしれません。
- The Bass player supported him well (SVO)
「ベーシストはしっかりとギタリストをサポートした」
想像を膨らませることによって、シンプルな文型で多くのことが表現できます。文法に振り回されることなく、想像を膨らませて表現していく。そこで一番大事なのは、「何を伝えたいのか」です。シンプルな発想で考える姿勢は、会話ができればいいという投げやりなものでは決してありません。考える、感じる余裕を持つと言う意味があるのです。
この姿勢は、文学を解釈、いや、楽しむ時にも重要です。少ない言葉、シンプルな文型で多くを語る。そして、シンプルな文章で人を感動させるのが文章の奇跡なのです。難しく堅苦しい文章の塊を文学と思い込んでしまうなんて、もったいない限りです。
最後に、3文型のシンプルな文型で、自然の雄大さを表現した素晴らしい表現を共有したいと思います。私は初めてこの文章を読んだ時、あまりに壮大な世界に感動し涙があふれるのをこらえることができませんでした。シンプルな文章が人の心を動かすのだということを感じていただければ幸いです。
All things merge into one, and a river runs through it. The river was cut by the world's great flood and runs over rocks from the basement of time. On some of the rocks are timeless raindrops. Under the rocks are the words, and some of the words are theirs. I am haunted by waters.
-- A River Runs Through It by Norman Maclean
Peace out,
Eric
筆者紹介
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。