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「来年は最初から世界をめざす」--Imagine Cupで世界に挑んだ学生の思い - (page 2)

藤本京子(編集部)

2008-07-11 20:43

いよいよ結果発表、そのとき4人は?

 結果発表は、会場となったホテルのカフェテリアで行われた。狭いスペースに全学生と報道陣が詰めかけ、まるで満員電車のようだ。NISLabの4人は前方にいる。日本からの報道陣も前方で彼らの様子を見守った。プレゼンテーションは、デモ以外はうまく行ったはずだ。せめて準決勝には進みたい。誰もがそんな思いで発表を待った。

 「準決勝進出の12チームを発表します。オーストラリア、スロバキア、ポルトガル、ブラジル、中国、フランス、ハンガリー、シンガポール、南アフリカ、韓国、クロアチア、そして残り1チームは…… ロシア!」

 誰も何も言わなかった。言えなかった。発表前、MicrosoftのJoe Wilson氏が何度も「今回準決勝進出を果たせなかったチームも、決して負けたとは思わないでほしい。みな各国の代表としてここに来ているのだから、ここにいる時点ですでに勝者なのだ」と念を押していたが、どうしても悔しさをぬぐい去ることができない。準決勝進出者の写真撮影で会場がにぎわう中、4人は何も言わずにその場を後にした。

 日本大会から彼らの姿を客観的に見ていた関係者たちは、NISLabが準決勝に進めなかった理由について「日本大会の時から感じていたことだが、やはりアイデアそのものに新鮮味が足りなかった」と分析する。他国からも同様のコンセプトで開発したシステムが多く発表されており、どうしてもその中で一番にならない限り勝ち目がないためだ。ほかにも、チームのあり方について「最初から役割分担しすぎていた気がする。もっと共同で作業できる部分があったはずで、分担するのは中身を完ぺきに固めてからの方がよかったのではないか」という意見や、「システム的にツメが甘かったのではないか」、「デモが2回とも失敗に終わったのはやはり痛かった」といった声も聞かれた。ただ、こうして厳しいコメントを寄せる関係者たちも、4人が一度この場で世界を見た経験は大きいと感じており「きっと彼らは来年もっと成長して戻ってくるだろう」と期待している。

「来年こそ」という思い

会見 一夜明け、報道陣を前に戦いを振り返った4人(左から、前山氏、松下氏、中島氏、加藤氏)

 翌日、ようやく現状を受け入れることができた4人が報道陣の前に再び姿を見せた。「もっとアイデアを練っていればよかった」「日本大会の前から世界を意識して取り組んでいればよかった」「もっといろんな技術を取り込めばよかった」「見せ方をもっと工夫すればよかった」。振り返ると、「こうすればよかった」「もしあの時こうしていれば」という思いが沸いてくる。それでも、後悔の気持ちよりも大きかったのは「世界レベルの大会に参加できたすばらしさ」だ。

 「今までこんなにがんばったことはなかった。がんばれば何でもできると感じた」(加藤氏)、「世界大会に参加が決まってからの時間は本当に充実していた」(中島氏)、「いろんな国の学生と接する機会があって楽しかった」(松下)、「学生という同じ立場で、世界でこんなにがんばっている人たちがいることは大きな刺激になった」(前山氏)--大会への取り組みそのものが4人に与えた影響はもちろん、世界最高レベルの学生と触れ合ったことによる彼らの意識の変化も大きい。

 「来年も参加しますか?」との問いに、加藤氏は「はい」と即答する。「きっと今回は(上位12チームには残れなかったものの)13位だったんですよ」と笑う加藤氏。加藤氏だけではない。来年卒業となる松下氏以外は、みな来年へ向けた意欲を見せている。「次はもっとがんばりたい。最初から世界をめざす」と話す彼らの姿は実にたくましい。

 これまでの緊張感から解放され、4人はパリの街を散策した。海外旅行は初めてというメンバーもいるというのに、プレゼンテーションの最終準備で全く外出していなかったのだ。笑顔を取り戻した4人は、今回の貴重な体験で誰もがひとまわり成長していた。

パリ パリの街で笑顔を見せるNISLabのメンバー

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