病院に予約を入れよう
こうした精神科の病院や心療内科、クリニックは、多くの場合事前の予約が必要となります。当日突然行って受診できるところは少ないので、受診前に電話し予約を取ってから行く方が無難でしょう。
実際の受診は、まずは医師やカウンセラー、ワーカーによる問診からスタートし、その後診察となります。その際に聞かれることは、
- 何に困っているのか?
- いつ頃から、どういうきっかけで調子が悪くなったのか?
- 自身や家族の精神疾患および身体疾患の既往歴
- 現在飲んでいる薬
などです。診察室に入り、白衣を着たお医者さんを前にすると、緊張してうまく話せない人もいます。自分の言いたいことや伝えたいことがうまく話せるか心配な人は、事前に整理して書きまとめた「メモ」を用意すると良いでしょう。自分自身の気持ちが整理できますし、自分の症状を客観的に見ることもできます。1人での受診が不安な場合は、家族に付き添ってもらうのも良いと思います。
受診する人の多くは、「どこまで先生に話していいのか?」「こんなことまで話していいのか?」などと考えがちですが、何でも話して大丈夫です。もちろん、話したくないことを無理に話す必要はありませんが、受診において「話してはいけないタブーな話題」などありません。「今日は天気が良いので1駅歩いてきました」「昨日はAというテレビ番組が面白くてずっと見ていました」など、何でも大丈夫です。
いよいよ診察開始
精神科・心療内科での治療には大きく分けて2つあります。1つは「精神療法」、もう1つは「薬物療法」です。
精神療法は、医師が患者との会話を通じて心の苦痛を取り除いていきます。精神療法では、医師の指示によって臨床心理士によるカウンセリングや心理テストなども行われます。
薬物療法は、文字通り薬を使った治療法で、気分がひどく滅入っているケースや眠れないといった症状を取り除くことを目的としています。薬と言うと拒否感を覚える人も多いのですが、薬はあくまで本来の心を取り戻す手伝いをする道具に過ぎません。
ただし、「薬」だけで全てが解決するわけではありません。精神療法と薬物療法をうまく組み合わせて、治療に臨みましょう。
筆者紹介
谷崎 恵 (たにざき めぐみ)
金融機関で資産運用相談業務に従事した後、社会福祉系の大学に編入学。同大学では精神保健コースを専攻。精神病院や心療内科などでの実習を経験し、国家資格である精神保健福祉士・社会福祉士取得。現在は、ストレス診断をはじめとする人材活用ソリューションおよびコンサルティングを手がけるアファリスのコーディネーターとして、企業のメンタルヘルス制度導入のアドバイス・運用にかかわる。